ガンダムAGE解説を終えて


 甘く見ていた、というのが正直な感想です。
 AGE解説の第1話を投稿したのが2012年の10月。当初は長くても1年ほどで終わると高を括っていたのが、書き進めるほどに書きたいことが膨らんでいき、気が付けば1年半以上。数えてませんが、書いた分量は軽く単行本何冊分かに相当するでしょう。よもやこんな大仕事になるとは思っていませんでした。
 そして自分の中の引きだしをこれほど総ざらえする事になるとも、当初は思っていませんでした。結果的にこのAGE解説では、筆者=私がこれまでガンダムについて見たり読んだり考えたりした事を、ほとんどすべてつぎ込む事になりました。
 仮に私の、AGEの展開を逐一歴代ガンダムに結び付けて解釈する見方読み方がまったくこじ付けの穿ちすぎであったとしても、これほど多くの歴代ガンダムのテーマや問題意識に何らかの形で連関させられるフックを持っているという事は、AGEという作品の多様性の証左です。疑似家族の問題からテロリズムから、はては宇宙海賊にデビルガンダムまで、これほど歴代ガンダム作品のモチーフやテーマを幅広く、また偏らずに取り込もうとした作品はありませんでした。


 見ようによっては、私は単にAGEをダシにして歴代ガンダム論をしていた、とも言えます。しかし仮にそうだとしても、AGEほど、偏りなく俯瞰的にすべてのガンダムを論じられる「ダシ」は、どこにも存在しませんでした。少なくとも私にとっては。


 本文中に何度も書いたように、AGEは出来の良い作品ではありません。純粋な娯楽として見る限り、盛り上げ所でつまずいてばかり、エンタメロボットアニメとしては致命的とも言える欠点を抱えた作品です。そのことに異論はない。
 ただ、AGEがやって見せた歴代ガンダム作品の批評的な総括と、いくつかの新しいテーマ・問題意識の提示は、今後生まれるであろう新しいガンダムシリーズ作品にとって、必ず有用なヒントになり得るだろうと、私は信じています。
 この作品が持つ意外な豊穣さを、一人でも多くの方に伝えられたなら望外の喜びです。



 なお。
 今回のAGE解説につきまして、言及した作品名、キャラクター名、MS名などから逆引きできる索引を作りました。いろいろ迷いましたが、こちらを試しに有料で公開してみたいと思います。
 本文はすべてフリーで読めるので、こちらは事実上の投げ銭という事になります。もしここまでの記事の内容に報いてくださる方がいらっしゃいましたら、是非よろしくお願いします。
 また、せっかく有料という形をとるので、索引の他にも、この度の全解説記事に出て来たキャラクター名、MS名を数え上げ、最も多く言及された人物、MSのトップ10なども紹介しています。この記事で、特に多く名前の登場した人物は一体誰だったのか、気になる方も是非どうぞ。
 お値段は300円。
https://note.mu/zsphere/n/n92159c23fa10
↑こちらからお願いします。購入に際してnoteというサイトへの無料登録が必要なのが若干煩雑ですが……よろしければ、ということで。



 最後になりましたが。
 この解説記事を書くにあたって、様々なサービス、ウェブ上の記事、読者の方々のお世話になりました。
 バンダイチャンネルは作品の視聴、場面の確認、スクリーンショット撮影で大いに助けられました。必要なスクリーンショットのためにいちいちレンタルビデオ店に出向く、などという事をしていたら、間違いなくこの記事は完結しなかったでしょう。一応その御恩に報いるべく、この記事執筆中は有料会員に登録させていただいておりました(笑)。
 また、ガンダムAGE作中セリフにつきましては、MAZ@ブログさんの台詞集を使用させていただいておりました。こちらのお蔭で、執筆時間の大幅な短縮が叶いました。
 その他、初代ガンダム逆シャア、∀のセリフはこちら、その他ガンダムシリーズのセリフについてはこちらなども参考にさせていただきました。大変助かりました。


 また、当ブログにコメントをくださった方、読みに来てくださったすべての方にも感謝いたします。間違いなく、この連載を完結するためのモチベーションを保つことが出来たのは皆様のお蔭です。ありがとうございました。


 それでは。ガンダムシリーズが今後もますます発展する事を祈って。