MSイグルー 第二話&第三話


 まったり見続けているMSイグルーです。


 まずは第二話、ヒルドルブが出てくる話。
 この話の感想といったら、おそらく誰でもある程度は共通しているんじゃないでしょうか。
 すなわち。


 ――ヒルドルブ速ぇ!(笑)


 あの速さはもう、どう見ても戦車じゃないよね。いや、戦車も時速150キロ以上出せるとかも一応知ってはいますけどね。けど、静止した状態からいきなりあんなに加速できるのかしら。
 とりあえず、あの動きを私の知っているもので例えるとしたら……ラジコンカー、です(ぇ


 とりあえずGジェネ的には、ヒルドルブをACEまで開発して、ライノサラスにするんだろうなきっと、っていう感じですが(笑)。その前に、ザクタンクをACEにするとヒルドルブに開発できるんだな、きっと。


 あとは、連邦側の鹵獲ザクの動きが割りと参考になりました。
 やっぱり私、地上でMSをどういう風に運用するのか、っていうビジョンがイマイチ頭の中に思い描けないでいたんですけど、そういう意味であのザクの運用法は非常に分かりやすかったです。たぶん、あれが模範なんでしょうね。物陰に隠れて相手の位置を特定→射撃で炙り出しつつ駆け足で接近→飛び上がって頭上から一斉射で仕留める、っていう感じ? 相手が戦車なら、この戦い方が確かに一番合理的そう。


 ストーリー? ああ、別に(ぇ
 ていうか、第三話でも思ったんですが。


 第三話は、EMS−10ヅダがメイン。
 一応ついにMS登場ってことで盛り上がるところなのでしょうが、なんか見ててずっと、どこか癇に障るなぁ、という感じでした。
 まずもって、第二話でもあったけど、冒頭のジオン国内でのプロパガンダ放送が、戦時中の日本のそれを彷彿とさせ過ぎて、まず気に障る(笑)。


 そして、序盤、ついに配備されたMS,それも国内で大々的に宣伝される重要な試験を任されてるってことで、ヨーツンヘイムの皆さんも非常に嬉々として働いているわけなんですが……。
 なんか、この時点でもう、のれなかったんですよね。「どいつもこいつも、ヘラヘラ喜びやがって」とか内心で呟いてる自分がいて、なんで俺こんなにイライラしてるんだろう、みたいな。
 けどまぁ、確かにこういう作劇は好きじゃないんです。薄っぺらいのね。


 私は、物語作りの面では未だに宮崎駿という人をある程度尊敬していて。
 その彼が『もののけ姫』製作中に、原画を描いてたスタッフに教えている内容をずっと心に止めているんです。

 (前略)タタラ場のフイゴを踏む女達。この原画、どうやら表情に問題があったようだ。過酷な労働に疲れて、へとへとになった顔。いかにも説明的な表情である。原画マンの清水洋さんに対して宮崎さんから指導があった。現場教育の典型、そして表現論として貴重なコメントが撮れた。
「辛いだろうから辛く描けば良いというのはね、それはあまりにも単純で、辛いというのが前提になっている上でも、それでなおかつ……マラソン選手がね、倒れる寸前にそういう顔するかって言ったら、こらえるから、しないでしょ。こんなに歯を食いしばってこらえてないと続かないような仕事、長時間やってれば辛くなる仕事、その時に、逆に朦朧としてきたら、辛い顔するよりも無表情になるだろう。やりすぎ、こんな風にしちゃうと、これ、次の瞬間倒れてしまうね。そういうことを、作用と副作用が、『辛い』って副作用があるとしたら、反作用がその人間にないと。この人間が本当に、単にひ弱な人間になっちゃう。だいたいそうやって組み立てる傾向がある。分かるでしょ。だから目の前の、この位の距離でしか物を考えてないね。今は辛いから、辛い顔してる。今嬉しいから、嬉しい顔してる。そうじゃなくて、嬉しいけど我慢してるとか、悲しいけど笑ってるとか、という風に、複雑にしていかないと面白くならない。特にこういう、うんと働くって時には……君だってそうです」(『もののけ姫はこうして生まれた』61−62p)

 引用が長くなりましたが、イグルーの作劇は正にこういう意味で、面白くない。
 嬉しいのは、そりゃ分かりますよ。けど、だからって軍事行動中に、どいつもこいつもニヤニヤしてて良いのか? と。艦長まで薄気味悪く笑ってるし。
 かと思えば、MS試験中の事故で殉死した者が出るや、ガキみたいにワンワン泣くという。
 泣いたって良いんですよ? けど、泣き方ってもんがあるでしょう。こういう時こそ、無表情になるものだし、不意に感情が噴き出して来ても、静かに泣くものです。仮にも軍人としての教育を受けてきた人たちで、軍艦の空気を吸ってる人たちなんだからさ。
 そういう細やかな演出が、具体的にドラマになっていくのに。このイグルーという作品は人物のそういうドラマの部分をおざなりにしてるので。私みたいな偏屈は素直に感動できないのですね。


 最後もひどいですよね。死ぬのを承知で、ジムを挑発しつつヅダの加速を危険域まで引き上げて、「今ヅダはジオン独立戦争に確実に参加している、その歴史は誰も消せまい」でちゅどーん
 もう本当に……こんなことばっかりやってるから、ジオン負けたんだと、本気で思うよ。
 初見のジムを相手にあれだけ戦えた良いパイロットが、こんな自己満足の私情でイチイチ死んでたら、そりゃあ負けます。
 基本的に、ガンダムの外伝系作品のジオン軍人はたいてい、私情でバカなことばっかりやってるんで、本当に敗因の一つに加えても良いんじゃないかと思ってます。結局こんなことばっかりやっててパイロットが残ってなくて、学徒出陣で、ゲルググの性能が活かせなくて敗北でしょ? みたいな。
 とにかく本当、イライラしながら見てました。


 それと対照的に、連邦のジムがやたら感じ悪く描かれてて笑ったw
 しかもジムまで加速しすぎ? で爆散。ヅダ並みの欠陥があるってこと? まあ、あそこでジムが生き残ったら後味悪いから死んでおいて、っていう作劇上の都合は分かるんですが(笑)。
 ついでに、ジオンのお嬢さんに「ウジ虫がぁぁぁぁぁぁっ!」とか言われる始末(笑)。ひっでぇ扱いw


 とにかくそんな感じで。CGは綺麗だから楽しめてはいるけれど、これで感動することは全然できない私でした。