2009年


 毎年恒例、一年を振り返っての総括でございます。
 ていうか、もうそんな季節なんやね。



   ☆執筆
 結局一年かけて長編小説1本仕上がらないのだからスローペースではあるのですが、しかし今年後半にかけて徐々にペースは上がってきている。手ごたえも悪くない、かな。
 小説SNSのdNoVeLsさんに参加させてもらってて、そこで企画としてショートショートなんかを書いていると、久しぶりに高校時代の、短い作品を書き散らしてた頃の楽しさが蘇って来る感じがして、非常に良い刺激になっています。懐かしい、原点に返ったような気分。


 本当は、今年純粋にキーボードに打ち込んだ文字数だけなら例年よりはるかに多いハズで、けれどその半分以上はこのブログの「東京彷徨」や京都旅行記事、ガンダム00感想などだったりするのでした。もったいない事でもあるかも知れないけど、これらはすべて、数年後の私の血肉になる記事だろうと思うし。
 もちろん、小説執筆も今よりさらにペースあげて行きたい。回転率もっとアップしていかないとなぁ。
 来年は、今書いてる『くくり草紙』を今度こそ早めに終えて、もうちょっとハイペースで、短期間に続けて(できれば定期的に)更新できるような、ピッチの速い連載をやってみたいですね。



   ☆読書(小説)
 今年は読書方面でも結構充実していまして、まあそれでも小説についてはまだまだ数が少ない。けど良い作品に巡り合っています。
 司馬遼太郎空海の風景』の豊饒さに圧倒され、『華氏451』でSFジャンルの懐の広さを再認識し、『夜は短し歩けよ乙女』で幻想小説の楽しさに酔い。やっぱり小説ってすごいね、可能性の広がりがある……そんな風に思えた事で、今年一年の活力をもらう事ができました。
 今読んでいる『帝都物語』も、トバしててなかなか凄いです(笑)。


 ライトノベル方面は、今年はほとんど手を出していない気がします。刊行ペースが早いから、私みたいな遅読の人間は一度流れに置いて行かれるともう追いつけないねぇ。
 唯一、新刊が出ると必ず買っているのは『断章のグリム』。年々その容赦のないっぷりに磨きがかかっている、そんな迫力が無視できません(笑)。



   ☆読書(小説以外)
 素晴らしい本にたくさん出会いました。今年は本の出会いにも実に恵まれました。
 意識して読書時間を増やしたのと、やはり京都旅行や「東京彷徨」など自分の足で経験したことと結びついた読書をした事も理由の一つなのでしょう。充実していました。
 そもそも新年最初の1冊だった『ゼロ年代の想像力』がもう、目から鱗が落ちっぱなしの素晴らしい洞察にあふれた本で、自分の中にもやもやしていた気分が明文化され、急に見晴らしが開けたような開放感をすごく感じました。
 その後も、『奇想の江戸挿絵』『平賀源内』『蘭学事始』『江戸の想像力』など江戸時代の豊饒な文化に触れ(これは東京彷徨の第二回で立ち寄った浮世絵美術館も大きかった)、『東京スタディーズ』『東京の空間人類学』『首都高をゆく』『異都発掘』などで書物の知識と実際の東京とをリンクさせながらの読書の楽しさも知り、『数学ガール』で数学分野にも視野が開け、『脳の中の幽霊』なんかも面白く。いや本当、例年の3倍くらいの濃さがありました。
 また、松岡正剛氏を知る事が出来たのも今年の大きな収穫。著書も2冊ほど読みましたが、それより何より『千夜千冊』です。久しぶりに読書意欲をガンガン高めてくれる存在でありました。このサイトを知る事がなければ、『徒然草』を読んだりは多分しなかったはずだ(笑)。
 とにかく、私の読書人生の中でも一番充実した年だったんじゃないかな。



   ☆読書(コミック)
 コミックはあんまり読んでいないのは例年通りなのですが、今年は『BLACK LOGOON』に出会えたのが最大の収穫。痛快で、それでいて色々な事を考えさせてもくれる、良い作品でした。
 冗談みたいに人が死にまくり、麻薬も蔓延し放題の作中の街ロアナプラが、けれど妙に魅力的な街に思えてしまうのは……それは多分、今の我々の国に無いものが、そこにはあるからなんでしょうね。
 ……え、具体的に何のことだ、って?
 私見では、
http://www.honza.jp/senya/1/matsuoka_seigow/1333
 多分この辺りの事と関係がある。


 そういえば今年は、『ヘルシング』の本編の完結した年でした。これもとびきり物騒で、素晴らしい作品でした。この作品を完走しきった作者に敬意を表したい。よくやる。



   ☆映像作品
 3月放送の『ルパンvsコナン』の感想は、なんでか未だに時々検索で来る人がいます。
 あと今年は『ヱヴァ破』も見に行きました。なんだかんだで、リメイク作品でここまで話題作るんだから凄いよね、とか。映像としても非常に素晴らしい出来のものでした。特に地上を全力疾走するエヴァのシーンは、あれは世間でももっと褒められて良いシーンだと思ゆ(笑)。
 世間では『サマーウォーズ』とかも話題作だったようですが、私は見に行ってないなぁ。そのかわり周回遅れで『ガンダム00』を見ていた。
 00ファーストシーズンの前半は、実は非常に意欲的な事をしようとしていたらしい事が読み取れるのですが(特に、その前のシリーズである『ガンダムSEED』へのアンサーとして見ると分かりやすい)、またその作り込み方も悪くないのですが、結局視聴者のリアクションで路線の変更でもあったのか、気がつけばSEEDも含む「ガンダムっぽい」流れに変わっていったのが、ちょっと肩すかしでした。
 視聴がセカンドシーズンで止まっておりまして、まぁツタヤのレンタル料も値下げしたし、年明けからまた視聴継続しようとは思っていますが……初期に感じていた「これは続きを見なければ!」という勢いが自分の中でだいぶ弱まっている事は確かです。
 どうしたものかね。



   ☆散策
 京都旅行、そして東京彷徨の開始と、今年が非常に充実した年であった理由の一端は、間違いなくこれでした。やっぱフィールドに出るって重要だ。
 ありきたりな言い方ですが、やっぱり契機をただ待ってちゃダメだ、という事なんでしょうね。それ以前から、自分があてどもなく散策で歩いたりするのが好きな事は何となく気づいていたのに、今年になるまで「なら休日に、それだけを目的に出かけてみれば良いじゃん」という風に思いつく事が出来なかった。思考の習慣って恐ろしいものです。
 もちろん、ただ歩くだけでなく、そこで写真を撮り、記事を書いてブログにアップするというところまで企画の骨子が出来た事で、ようやく私の東京散策が始まったんですけどね。そういう風に後に残る形がなく、ただ歩きまわるだけだったら多分一生そんな散策なんて始めなかったでしょう。


 京都旅行も、一生の財産になるような素敵な旅行でした。猫も杓子も行くような観光地だろうと、一度は自分の足を運んでみるもんだ、と再認識しました(笑)。自分が金閣寺であんなに感動すると思わなかったもんなぁ。
 また行ってみたいけど(今度は奈良あたり?)、小売業は連休が取りにくい上、年々人が少なくなっているので……次はいつ行ける事やら。


 そして東京彷徨。これもまた、やってみるもんだ、という。
 自分自身が住んでいる東京という街について、まったく全然パーフェクトに何も知らなかった事に、ようやく気付いたのでした。
 とにかくどんな街だろうと、実地に歩き回ってみなければ、自分の住む街の事を好きか嫌いかも言う事が出来ないんだな、と。そして私はどうやら、この雑多で統一感のない街の事をわりと好きらしいと実感したのでした。変わってしまった部分や、変わりつつある部分まで含めて。


 東京でまだ行っていないところ、行きたいところは沢山あります。できれば東京23区は全制覇したいし(笑)。来年はどれくらい回れるでしょうかね。
 とりあえず、願わくは、来年こそは晴れの日にもっと恵まれますように!(笑)



   ☆ゲーム
 昨年までに比べて、プレイ時間はめっきり減ったようです。
 特に、行動範囲内にあるゲームセンターが軒並み潰れた次第で。まぁ、結果的にそれで浮いた時間もお金も、上で書いたような形で有効利用できているので良かった事なのですけれども。けどやっぱりやっぱり、ちょっと寂しい。
 大型筐体のカードゲームなんかは、始めるのにとんでもない気合を要するものばかりだし、気軽に100円投じて「これ面白いなぁ」って感じられるゲームは年々少なくなっている、というのは確かにそうかも、と。
 連邦vsジオンに始まるガンダムのVSシリーズも、気がつけばやたら操作法が難しくなってしまって。初代連ジの、あのシンプルな楽しさは遠い昔の話になってしまいました。シンプルだったからこそ、当時ゲーセン歴のなかった私でもハマれたのにねぇ。


 で、今年プレイしたゲームだと、Gジェネウォーズという事になるわけですが、これも実質途中で止まっていますね。まぁ今年の年末近くはいろいろと立てこんでもいましたし。
 このGジェネウォーズもテンポの良さはピカイチで、シリーズ中で最も快適にプレイしたような気がするのですが。私個人も色々気に入っていて、余裕があればまたぞろプレイ小説まで書いてみたいと、そこまで思っていたんですけれども(笑)。
 やっぱりそれでも、1ステージの攻略に2時間とかかかる事を考えるとね。これだけ色々とやりたい事が多い中では、やっぱり厳しくなってきます。
 まぁしょうがないかぁ。


 あと、今年は東方関係でも、『東方星蓮船』『東方非想天則』が出ましたね。しかしこれも、最低限のストーリーを確認する以上の事はやっていなかったりして。せめて星蓮船のノーマルクリアくらいはして、封獣ぬえさんのご尊顔を拝むくらいはしたいものなんですが。
 なんか東方のプレイ時間も年々減っている気がして遺憾です。正月にちょっとは時間とれるかなぁ。
 東方といえば『東方儚月抄』が完結したわけで。これについての感想も長くつけてきましたが。
 発表媒体などの兼ね合いもあって、作品として最善の見せ方が出来たとは思わないけれど。けどやっぱり何だかんだで、儚月抄の事は好きだなぁと思う私でした。やたら場所を取る分厚い月刊マンガ誌を買い続けるのが苦にならない程度には楽しませていただきましたし。



   ☆総じて
 とにかく今年は素晴らしく充実していました。私の事をリア充と呼んでくれても良いよ(笑)。やっぱり休日に自ら出かけるという、アクションを起こす事で能動的に日々を充実させられるという、人によっては当たり前の事を発見できたのが今年最大の収穫だったわけでした。
 街の散策なんて、交通費と昼飯代、あと休憩時のコーヒー代くらいしかかからないからお財布にも優しいし(無論、有料の資料館とかにも入れればなおベター)。カメラも最近はケータイでも良いんだしねぇ。これはなかなかオススメの趣味だと思いました。


 企画と言えば、本当は今年「柳田國男全集を読む」企画もやる予定だったんですけど、そちらはほとんど進みませんでしたね。来年は少しは進められるかなぁ。


 ともあれそんな感じで。来年も、やりたい事も読みたい本もいっぱいだ! 頑張っていきましょう。
 それでは皆様、良いお年を。