『ブギーポップ・リターンズ』上下


 『ブギーポップ・リターンズ』上巻:530円
 『ブギーポップ・リターンズ』下巻:530円
 今頃ブギーポップを読んでいる自分:Priceless


 気まぐれというのは恐ろしいもので、つい手を出してしまったのですよ。
 まあ、いろんな意味でライトノベル業界にとってエポックメイキングな作品ではあったのだし、読んで損はないかな、とか思ってみた。
 ちなみに一作目は、二年前くらいに読了済み。


 一読して。やっぱり上手いなぁ、と思わされました。
 一作目ほどの技巧はないのだけれど、セリフの巧みな含みや情感、三つの勢力の拮抗とその中で動くキャラクターを活写していく構成、それから道具立て、読者の日常から絶妙な距離をとったフィクション世界。
 特に、イマジネーター、統和機構、そしてブギーポップの三勢力で話を動かしていったのはさすがという感じ。敵味方二勢力でやるよりも、この方が意外性や臨場感が出やすいし、リアリズムも増す。群像劇の得意なブギーポップにふさわしいドラマの作り方という感じ。


 一気にとんとん読ませてしまう筆力もあって、これならブームにもなるよね、と納得したのでした。一作目の時よりも好印象だったかも。多分その理由は、ブギーポップの変にまっとう過ぎる説教が少なくなって、いい感じに謎めいた存在になれてるから、なんだろうと思うのですが。
 あと、一作目じゃわからなかったブギーポップの強さの描写もあるし。その辺が爽快感につながったのかなという気がします。


 いくつか謎のまま終わった言葉や概念があったけれど、それも別にマイナスなイメージはない。むしろ読後の余韻みたいな効果を果たしているような感じで、面白かった。


 そんなわけで、久しぶりに楽しんだライトノベルでした。
 続き読もうかなぁ。考え中。


 ところで、ニュルンベルクのマイスタージンガー、ってどんな曲だっけ。