CMB第一巻

C.M.B.森羅博物館の事件目録(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(1) (講談社コミックス月刊マガジン)


 同じ加藤氏の新シリーズ。
 基本的にミステリって、綾辻行人が出て新本格ミステリってのが出て、最初は勢いがあったけど段々単独では辛くなっていって、やがて「ミステリ+民俗学=京極」とか、「ミステリ+理系=森博嗣」とか、「ミステリ+日常or純文学=北村薫」とかが台頭しはじめ、やがて拡散しすぎてニッチもサッチもいかなくなったというのがここ十五年か二十年くらいの動きなわけですが(笑)。
 最近は「ミステリ+ライトノベル西尾維新」ってあたりか。
 こんな感じで、いろんなものと混ざり合うのが当たり前、というのが私の世代のミステリ観です(ちなみに当方、現在二十代半ば)。


 んで、前置き長いですが、このシリーズのコンセプトは「ミステリ+博物学」。
 私の連想は即座に荒俣宏に飛びます(笑)。
「ヴァンダーカンマー」って言葉を最初に見たのも荒俣の本ででした。
 ある意味「今さら」でもある博物学ですが、読んでみると意外と面白いような気もする。


 まあでも、やっぱり道具立てとしては、旬を過ぎたフレーズばっか、という感じもあります。人体発火現象とかね(笑)。
 世界からフロンティアがほぼ消えて、博物学が意味をなさなくなって、やがてネットの時代になって「キーボードひとつで何でも通り一遍くらいには知ることができる」時代になって。
 今、博物学で何をするつもりなのか、ある意味気にはなりますね。
 本当に徹底すれば、上記のようなネット時代への強烈なカウンターになるかもしれないし……でも、かなり絶望的な戦いのような。
 まあ、頑張って欲しいな、とは言っておきます(笑)。