とある魔術の禁書目録1



 電撃で最近人気のシリーズ。


 やっぱり、先日の作品への批評を念頭に読んでみると……そもそもの文章自体が全然違うなっていう、そういう反省から入るわけですが(笑)。
 こりゃあ、こういうのに比べたら、自分の小説の文章が「読みにくい」って言われてもしょうがないよな、っていう。そもそも語り口からして違う。読者が求めているものと全然違う方向性で文章書いてたなっていう、そんなことを実感しながら読み進めたり。


 謎めいたキャラで読者の関心を引き、そこに二重三重のミスリードとどんでん返しを入れて意外性をしっかりと作り、最後には主人公の気持ちをばーっと走らせて、最後にもう一つどんでん返しを入れて終える。
 やっぱり、この場合必要なのは、周到にプロットの段階でこういう意外性をしっかりと組み込んでいくことなんでしょうね。で、そこをかっちり作ったうえで、実際の文章は硬くならないように、どちらかというとしゃべり言葉に近い感覚でどんどん転がしていく……そんな感じでしょうか。
 そうね、こうあるべきだ。


 話としては面白かったですよ。
 いわゆる「魔術」と「科学」を両方あつかって、その距離感の中で話を書いていこうっていう話では、『ウィザーズ・ブレイン』が趣向は違うけど似たようなテーマだったのかな。あっちは、科学が発展しすぎて魔術になっちゃったっていう(端折りすぎだけど)話でしたが。この作品は、別系統の二つの技術体系、みたいに扱っている。
 とりあえず、文体は馬鹿だけど、魔術とかそういう事象についてかなり勉強して書かれてるなぁっていうのが、安心感になって読めるような。


 まあ、それぞれのキャラをちゃんと動かせているかっていうと、尻切れトンボな部分は大いにあるんですけどね。けど、一本ちゃんと筋が通ってるから、これで良いんだろうね。


 とりあえず続きは読む予定。