マキゾエホリック


 微妙に今度書く小説と、方向性が似ている気がしたので買ってみた。
 第十回のスニーカー大賞受賞作品、なのかな?


 まあ要するに、一つの学級に改造人間から超能力者から退魔師から何から、全部詰め込んでしまおうというのがお話の骨子。で、それぞれに背後設定とか結構本格的にあるんだけど、クラスを統括している「監視委員」さんがそれらすべてを単調な「記号」に還元して管理しているため、それぞれあまり好き勝手に動けない、みたいな感じ。


 と、上記アイディアはかなり慧眼というか、面白いと思う。
 思うのだけれど、いかんせん多すぎるキャラを把握しきれないんですよね。キャラ一覧を冒頭に載せられれば良いのだろうけれど、話の肝の一部が「誰の正体がどうなのか」っていう部分のサプライズにもあるため、一覧にしてみせることもできず。
 結果として、名前が出てきても全然どれが誰だかわからないという状態に。
 そのくせ、話を盛り上げるための重要なキーの一つが「どういう能力持ったヤツがどう絡んでいたのか」なので、もうこちらが状況把握できないうちに、読者置いてけぼりで勝手に盛り上がっちゃう感じはありました。


 ていうか、まあ、かったるい小説ではある(笑)。
 文体もそこまで突き抜けてるわけでもないし。


 まあ、各キャラクターに読み手が慣れてくれば、もうちょっと楽しめるかも知れませんが。1巻だけ見た限りでは、せいぜい凡作というところ。


 確かに、大人数を限られた枚数で動かすのって難しいんだけどねぇ……。