レンタルマギカ


 なんとなくライトノベルで良いのがないか探していて、見つけたシリーズ。
 何に惹かれたって、「古今東西魔術の異種格闘技戦」という売り文句に(笑)。
 中学三年で京極に出会って以来、オカルト方面を行ったり来たりしていた私としてみれば、こう謳われたら読まざるをえないよなぁ、という感じで。


レンタルマギカ ~魔法使い、貸します! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ ~魔法使い、貸します! (角川スニーカー文庫)


 一巻目。とりあえず身内に神道陰陽道、そしてケルト魔術(!)を配しつつ、敵側組織にソロモン魔術という構成。


 ていうか、完全に書き手視点の感想ですが、茨の道を行ってるなぁ、とケルト魔術使いのお姐さんを見つつ思うわけです。資料どんくらい残ってんのそれ? っていう感じで。
 これでシリーズ化したら、なんか新刊のたびにどっかから魔術出してこなきゃいけなくなって、大変な事になりそうだよなぁ、とか思いつつ読んでました(笑)。しまいにはブードゥーとか出てきたりしてな。


 冒頭、各魔術の性質とかを数値化した表みたいなのが口絵についてて、今書いてる私の小説もそういう数値化がキーだから「うお、ネタかぶった?」とか一瞬あせったり。けどまぁ、異種格闘戦的コンセプトで書くなら、やっぱこういう形での数値化って必須なんだろうなとか思いつつ読み終えました。
 スパロボもそうだけど、異なる世界観や法則で動くものをぶつけようと思ったら、まず数値をつけて同じ土俵にあげてやんないといけないわけで。


 ストーリーラインそのものにはそんな斬新さはないのですが、堅実な仕事なのでそれなりに楽しく最後まで読めます。
 キャラ的においしいのはアディリシアさんなんでしょうね、やっぱり(笑)。


レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師! (角川スニーカー文庫)


 二巻目。タイトル通り、錬金術師出してみましたの巻き。


 まあ、そこまで目新しい道具立てでもなく。錬金術扱ったエンタメ作品を二、三作読んだことのある人なら、「ああアレね」と思えるようなモノが中心です。ホムンクルスとか。
 人造少女、一見無邪気で実は冷酷、けどさらに実は寂しがり、なんてあたりも基本に忠実。まずまず良く書けてるとは思いますが。
 やっぱこの作者、良い意味でも悪い意味でも「堅実な仕事」する人だなぁという印象。どの巻も大ハズレがなくてそれなりに面白いけど、あまり突き抜けたこともやらないなという。
 まぁ、あまり難しいこと考えずに、ツンでデレなケルト魔術師の穂波さんとか、尊大でデレなソロモン魔術使いのアディリシアさんとかを眺めてニヤニヤしてれば良いってことなんでしょうが。
 魔術とかについても、あんまり突っ込んだ話すると一般読者ついてこれないしにゃあ。


 しっかし、挿絵での穂波さんの冷遇ぶり、アディリシアさんの登場頻度の多さに笑った。うんうん、なんか気がつくと優遇されてるヒロインっているよね(笑)。みたいな。


レンタルマギカ 魔法使い、集う! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ 魔法使い、集う! (角川スニーカー文庫)


 ライトノベル神道を描ききる、という荒業が光る短編集な巻。
 やっぱこの人、茨の道を行ってるなぁと改めて思ったり。私は無理ですね、ラノベの場で神道とがっぷり四つに組むなんて(笑)。
 序盤二話はどちらも、「この長さでこんだけのことやるの?」って感じで、ちょっと詰め込みすぎな感じのする話なのがもったいなかったかなという。
 最後の一話は、このシリーズでのマイフェイバリットなアディリシアさん登場の上、陰陽道使いさんもなかなか良い見せ場もらってたので割りと好きですが。
 やっぱ、神道だよなぁ。よくやる。


 ていうか、神降ろしで降りてきた神の名前が「タケミナカタ」と分かった瞬間の、「うわヤバイの呼んでるー!?」って感覚が素敵でした(笑)。京極の『狂骨の夢』を覚えている方ならなおのことかと。
 まあ、やっぱり描写の面でも、テーマ的な踏み込みの面でも限界はあるんだけど、私としてはやっぱり、ここまでやられたら「よく頑張った、感動した」って感想になります(笑)。



 そんな感じで。次巻以降も読む予定なので、読んだら感想を。