一人反省会


○ペース配分


 駄目すぎ。とにかくひどい。
 前回に引き続き推敲の暇もない上に、今回は内容についても吟味が足りなかった。
 話のコンセプトとして、技や人物などのネーミングが非常にネックになってくる話だったのに、その肝心のネーミングが時間ないためやっつけ仕事になるという、かなりいただけない状態に。特に最終章。


 ていうか、たまたま締め切り当日に遅番を頼まれるという幸運が重なったから間に合ったので、そうでなければジ・エンドでした。
 ちょっと何ていうか、本当に今回は駄目。
 おかしいなぁ、余裕もって始めたはずなのに……。やっぱ、日々自堕落になっていく私でありますよ。自戒。



○構成・描写


 基本コンセプトは、東方のスペルカードシステムのように、ネーミングに趣向をこらした技を次々うってくる、そんなバトルもの。
 で、弾幕のかわりに、ちょうどトレーディングカードゲームの効果に近い感じの、それぞれが使用者に有利な効果を発生させる技を、敵の手の内を読みながら繰り出していくというのがバトルの構想。


 それ自体は、まあそこそこ狙い通りには書けたかなとは思うのだけれど。
 枚数と時間の関係で、また提示の仕方に良い方法が思いつかず、各技がどういう効果を持っているのかという一覧をつけないまま、小説本体だけを送ってしまったわけで。
 もちろんそれでも、話を読むのには支障はないはず(終盤の説明場面一つを除いて)なのだけれども、やっぱその辺の狙い(トレカの効果チックな効力を持つ技の応酬)をはっきりさせる上で、そういうのも付録として一緒に送った方が良かったような気はする。
 まあ、各章の間にそれらを挟む、という当初のやり方を中止したのは正解だったかなと思うけれど。


 あと根本的なこととして、ヒロイン5人、敵勢力3つはさすがに無理すぎ(笑)。
 まあ自分自身に「今回は馬鹿をやる」っていうのを徹底させる意味では有効だったし、変に内向的になりすぎて暗くなるいつもの悪い癖はあまり出ず。ていうか主人公が物思いにふけっている暇もなく、次々いろいろ起こってる感じで、それは悪くなかったと思うけれど。
 ただやっぱり、後半、消化しなきゃならないエピソードが多すぎてバタバタしてしまった気もするし。最後は枚数の関係で、バトルがちょっと淡白になってしまったのもマイナス。原稿用紙換算で350枚が今回の枚数上限ですが、私の作品はぴったり350枚相当でした(笑)。ギリギリ詰め込んだけど、正直足りなかった。
 結局ヒロイン一人、完全に脇役になってしまった。


 ついでに、物語の背景に全然筆を費やせなかったのもかなり問題。組織の名前とかいくつか出てくるけど、その組織の奥行き、大きさを感じさせる会話や描写を全然入れられてないしなぁ。
 主人公の母親の人物像を炙り出すのにも失敗。まぁ、謎な存在として背景にうっすら存在させる、っていう形だからぼんやりでよいのだけれども。それにしても、もうちょっと具体的な人物像を浮かべておくべきだったかも。


 また、第一章はまだ、ライトノベル的な、ツッコミベースのコミカルな文体をやろうとしつつ乗れずに、ちょっと固くなってた印象があって、それもマイナス。
 二章に入ってからは硬さは取れたと思うけれど、描写部分は薄かったかも。この辺は、まああちら立てればこちらが立たない部分もあるにせよ。



○キャラ


 これは私の端的な弱点なのだけれど、悪役のキャラ立てが弱すぎる。
 特にラスボスが雑魚にしか見えないのはどうかと思う……。なんだろうなあ、どっかその辺で、つながってない回路があるんだよなぁと思う。
 ていうか、敵キャラを作るのが苦手ならバトルものなんかやらなきゃ良いのに、とか思ったりもする。
 坊さんキャラは勝手に暴走して動いてくれたけど(笑)。
 とにかく、自分の中にまだ明確に「敵」っていうイメージが浮かんでこないんだろうなぁ。気がつくと味方キャラばかり設定詰めている。ついでに女キャラばかり贔屓している(爆死


 で、味方の女キャラ。それぞれ方向性の違うバトルヒロインが五人。
 これは今回書いてて、なんか色々と発見があって面白かった。
 ヒロイン五人のうち、三人は去年の電撃に出して落ちた小説のキャラをもう一度引っ張ってきた。もう一人は以前からガンダムのCGIゲームでオリジナルキャラとして適当に作ってたキャラをブラッシュアップして抜擢。今回の作品のためのオリジナルヒロインは一人だけというラインナップでした。
 要するに、同じ作中人物の間で地層というか、生み出されたのに時間差があるわけで。


 今回新しく用意したヒロインのうちの一人(ブラッシュアップな人)は、後半なにやら、主人公にわりとべったり甘えるシーンがあって。これは私の作品履歴の中でもけっこう画期的な事だったんですが(笑)。
 実際、過去作品から引っ張ってきたヒロイン三人はいずれも、主人公に甘えるような器用さを全然持ってない。なんか温度差があって、そこが面白かったです。その辺は私の中にも、心境の変化があったんだろうね、とか思う。どんな変化だかわかりゃしないが。
 ついでに、気がついたら絵に描いたような「ツンデレ」を書いている自分に気づいて驚愕したさ。とりあえずここでだけでも言い訳させてくれ。三割くらい意識しないでもなかったけど、あくまで「気がついたらそうなってた」のだと(ぇ


 また、鮮度の高いキャラを動かす時の方が書いていて乗れる、という事も発見だったかも。旧作から引っ張ってきた三人は、既にあるていど内面の分かっているキャラなので、そいつらを動かしてもそんなに筆が乗らない。逆にこの作品のために新たに立ち上げたキャラを動かす時は、自分自身すごく面白がりながら書いていたりする。
 やっぱり、実際動かしてみて、意外な一面を見せたりする、そんな予想のつかない部分が書いていて面白いので、キャラ造形の使いまわしは程ほどにした方が良いのかもとか思ったり。



○テーマ


 まぁ、テーマは最初、まったく想定していなかったわけで。
 いつも何か、思想的にも意義あるテーマを設置しそこから何かを引き出そうと考え考えしながら書き進めるのだけれど、その結果、テーマに気を取られすぎてそもそもエンタメとして「面白くない」と致命的なことを前作の感想で言われ。
 どうせ理屈っぽい自分のことだ、何も決めずに書き始めてもそのうち勝手にテーマっぽい事が浮かんでくるだろうと思い、今回はキャラ案以外はほとんど作らずに執筆開始したのですが。プロットも立てず。
 そしたら案の定、いつの間にか話の背後にテーマらしきものがちらちらと。
 しかも「世界」「時代」「世代」と、厄介なのや大掛かりなのばかり。
 けど、少なくとも前回のものよりは上手くいったかな、とは思っている。まあ、ラスボスが作品全体とあまり関わっていないのが結構致命的なのだけれど、どうあれ「世界」って言葉をキーワードに、作品全体で有る程度まとまりをつけられたというか。


 まぁ、やはり敵のキャラ立てが弱かった分、最後に行われるテーマに関わる会話も本筋との関わりの薄い言い捨てみたいになってしまう面があり、そこは惜しかったかなとは思うけれど。
 そこまで何もかもできるような枚数じゃないのでね。



 と、以上、大体思いつく限りの反省点でありました。
 これ以外の記事に関しては、明日にでも……。



○追記

 読み直してみた。終盤の駆け足っぷりはありえない。ていうかやっぱ、ちょっと厳しくないかこれ。
これで完成、っていうにはちょっとおざなりに過ぎる感じ。