街道をゆく6 

街道をゆく (6) (朝日文芸文庫)

街道をゆく (6) (朝日文芸文庫)


 司馬遼太郎氏の『街道をゆく』シリーズは、私にとっての癒し系でして。
 本当に気が滅入った時、ダウンな気分の時に少しずつ読んでいます。
 とにかく文体が、やわらかでそれでいてカッコイイ。
 旅先で出会った人や、同行する人たちへのまなざしが優しくて、気持ちいいのです。


 今回も、本当にとことん気が滅入っていたので久しぶりにこれを投入したのですが……この巻で扱っているのが沖縄なため、どうしても第二次大戦での沖縄戦に話が行ってしまい、余計鬱になったりして。


 けどやっぱり、この人の知性と、人を見る目の穏やかさは気持ちよかった。
 司馬さんと一緒に旅をしている須田画伯という人が出てくるのですが、彼がもう、すごく可愛い人なんです(笑)。子供そのまんまっていうか、それを語る司馬さんの筆致も可笑しくて、なんというか、本当に素敵。
「〜とおもえる」「〜と言っていい」という控えめな言い回しも、歴史について語るのに非常に穏やかな感じです。なんか、言い知れぬ懐の深さみたいなのを感じてしまいます。


 またいずれ、本当に気が滅入った時に読むことになるでしょう。まだこのシリーズも三十冊以上残ってるわけだし。ああ、幸せだな(笑)。