評伝シャア・アズナブル
評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 上巻 (KCピ-ス)
- 作者: 皆川ゆか
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/07
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 99回
- この商品を含むブログ (123件) を見る
評伝シャア・アズナブル 《赤い彗星》の軌跡 下巻 (KCピ-ス)
- 作者: 皆川ゆか
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/07
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (90件) を見る
読んでみた(ぇ
司馬遼太郎文体で語られる、赤い彗星シャアの一代記。
ガンダムの魅力の一つは、こういう人文的なアプローチもやろうと思えば出来てしまうことですよね。そういう懐の深さがあって。
こういうの読んでると、いっそどの時代の首相は誰だったとか、そういうところまで宇宙世紀の歴史に関しては作りこんじゃえば良いのにとか思ってしまいます。サンライズの方で。
読み応えはありました。読み物として非常に面白いと思います。
特にグリプス戦役、クワトロ・バジーナについて扱った辺りが良いですね。よくZガンダムの各エピソードを研究していて、読解も深いように思います。特に『Zガンダム』って難解な部分があって、初見の人が通しで一回見たくらいじゃ、シロッコが何考えて動いてたかとか全然わかんないわけですよ。ハマーンとかも。
その点で、これは良い副読本になると思いました。シロッコ、ハマーン、クワトロ、カミーユあたりが何を考えて動いてたかをよく追って、まとめていると思います。
とりあえず著者は明らかに司馬遼太郎を意識していますね。
「○○の不幸は、××であったことである」とか。ここで「不幸」が主語になるのは明らかに司馬文体w
で、決して多くない、アニメ作品からのシーンの抜粋とこういう文体上の縛りの上で、これだけの本をきちんとまとめたというのは、これは労作と言って良いと思います。
こうして通しでシャアという人を見ていくと、最初は一パイロットであった人が、Zでのクワトロを経て、一組織の代表になっていくという経緯が見えてくるわけですけれども。そういう意味で、やっぱり私はZでのクワトロ・バジーナが一番好きなんだなというのを再確認いたしました(笑)。
状況を動かしたいと思いつつ、しかし自分の実力が足りないという冷静な自覚はあって。
それでもなお、「まだだ、まだ終わらんよ!」って言って踏ん張ってる、そこがカッコイイよね、みたいな。
あんまり共感してくれる人いなさそうですが。
ともあれ、面白い本ですので、機会があったら是非手にとってみてくださいまし。