街道をゆく7

街道をゆく (7) (朝日文芸文庫)

街道をゆく (7) (朝日文芸文庫)


 引き続き読んでみた『街道をゆく』。
 まあ大抵いつも、読む本は気分で選ぶので、なぜ立て続けに司馬遼太郎だったのか不明。


 前巻がまる一冊かけて沖縄だったのに対し、今巻は伊賀甲賀、壺坂、淡路、そして砂鉄の道と西日本を中心にあちこちへ出かけた際の氏の思索が短めに。


 ちょっと、同じ著者の本を続けて読んでしまったことで若干惰性みたいな、集中せずに流して読んでしまった感もあるのですが。それにしても、やっぱり面白くはあったのでした。


 たとえば函館の五稜郭について言及した際に、「これほど愚劣な城はなかった」なんて書かれると、名前しか記憶していない身としては「へぇ、そーなのかー」と感心してしまうわけです。
 なんでも海に近く、船からの砲弾が普通に届いちゃう場所にあるそうで。また陸からも、目一杯仰角とって大砲撃てば城の中に届いてしまうという、意味ないじゃん的城だったとの由。


 こんな感じで、上辺だけの通り一遍の知識に肉付けがされていくような、そんな感じでやはり楽しいのですな。
 そして相変わらず、司馬氏の旅に同行している須田画伯が可愛すぎるのです(笑)。こういう、画才以外の部分はまるっきり子供なんて人が生活していける社会ってのは、豊かですよねやっぱり。とか。


 とかく、氏の文体に触れてるだけで幸せなんだってば。そんな感じなのでありますよ。