『リリアとトレイズ』5・6


   ↓クリックでアマゾン購入画面へ


 この人は本当に上手いよなぁ。セリフ回しとか、設定部分とか、キャラ配置とか、もう全部。
 とにかくその、場面転換やセリフのテンポの良さが凄すぎる。
 シリアスな場面でも、のん気に構えてるヤツや部外者面しているヤツが必ずいたりね、その辺の呼吸も相変わらず本当に上手い。
 それでいて容赦ないところは本当に容赦ないし。修行不足の私には書けないプロットだった。


 で、最後は時雨沢先生やりたい放題(笑)。この人の書く変態は突き抜けすぎてしまって、もうなんか変な愛着が湧いてくるくらい。
 なんか本当に楽しそうなのでした。シリーズの締めとしても、最後は気分よく終わって、満足かな。


 ただまぁ、トラヴァス大佐の事はもうちょっと知りたかったかもしれない。
 この作者は本当に「書かない」テクニックの上手い人で、情報を伏せて関心をもたせて、それで読み手を引っ張るのがすごい上手いんだけれども。また、あえて書かないまま終わらせることで読者の想像をかきたてるのも上手い。それでいて、「書かなすぎる」、つまり必要なことまで書かないという事もないというバランス感覚。だから本当に作者の手のひらの上なんですけどね。
 これでやっぱり、次回作が出たら買うんだろうな。