歴史に気候を読む
- 作者: 吉野正敏
- 出版社/メーカー: 学生社
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 単行本
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目次の一節に、「風の神話と風祭り」「日本の風神・雷神とそのルーツ」という項目があるのを見て衝動買い。
すなわち、『東方風神録』の予習読書(ぇ
中身は、まあ大したことありませんでした(ぇ
以前にも書いた事がありますが、基本的に「今後の研究を待ちたい」とかいうフレーズを多用するような論文の著者は大した事ありません。
研究者が、研究者である限り課題への追及をしていくのは当たり前の事。したがって論考の最後にこんなフレーズが出てくるという事は、端的にその著者自身が「とりあえず納得」できる程度の仮の結論にすら達することが出来ていないという事実の発露に過ぎません。
実際読んでみても、誰か他の研究者の仮説や論旨を引用して切り貼りするだけ、良くてそこにコメントをつける程度の事しかしていないなというのが読後の感想。中身なさすぎです。
もちろん、そうした他の研究者の論考に目を通し、それらを横糸でつなげて言及していくというのも、それなりに手のかかる仕事だとは思います。そして実際、引かれてくる事例や論旨なども初見のものが多く、興味深く読んだことも確かです。
けど、ねぇ。小松和彦氏とか、大林太良氏とか、私をワクワクさせてくれた研究者の著作はそれら引用してきた事例をつなぎ合わせ、そこに明晰で説得力のある独自の分析を添えていましたし。そこまでやるのが一流だよなぁ、とか、門外漢としては無責任に思ったりするわけです。
ただ事例を引っ張ってくるだけで本作るなら、南方熊楠くらいやるべきだし(笑)。
ともあれ。歴史を通じて、気候的に比較的温暖だった時代と、唐の隆盛・バイキングの横行・平安時代の栄華などが同調して見られるといった知見は面白くありました。
とりあえずこういう本読むと、一次文献に当たる努力をしなきゃなと毎回思う次第。でもやっぱり時々、こういう雑学チックなマイナー本を読んでしまう私。ダメジャン。