自作「伝奇関係データベース」より 蛸(タコ)

   蛸


・蛇が蛸に化ける、という話が近世、多く語られた。
 曰く、七本足の蛸は蛇が化けたものなので食してはいけない、等。九足の蛸について同様に言うケースもある。
 また『和漢三才図会』や『重修本草綱目啓蒙』などに、石距(てながだこ)は蛇の化けたもの、との記述がある。


・『義残後覚』巻四では、蛇の胴体部分が膨らみ、頭と尾がそれぞれ四つに裂けて蛸になった、という四国遍路の目撃談を載せる。


参照:ぺりかん社『江戸の怪異譚』


 相変わらず、今読んでいる『江戸の怪異譚』からの採取。蛇がタコになるという逸話。
 これ系の本草学(江戸時代くらいまでの動物学、植物学、百科事典みたいなもの)絡みの話もそれなりに色々目にしてはいるんですが、この話は初めて知りました。しかも、近世にはけっこう幅広く知られていた話のようで。
 この他、スズメが海中に飛び込んでハマグリになるとか、ウズラがネズミになるとか、はたまた山芋が鰻に変わる、といった話も本草学関係の書に載っていたりします。
 まあ何というか……山芋が鰻に変わるって、お前それ絶対「ヌルヌルしてるもの」つながりだろ、という感じですが(笑


 ともあれ、本草学関係も本格的に踏み込むと、奥深くて大変なんで、こんな感じでたまたま読んでた本に出てきた話をちまちま集めて、外堀を埋めていこうかなとか思うわけでした。