図説・旧約聖書の歴史と文化


 発行は1973年、わーお私が生まれるずっと前だ。
 神保町の古本祭りでいつぞや買った本です。


 この手の古い本を読む時には、くれぐれも注意が必要です。文中で書かれている事が、現在ではもう通用しないというケースがありうるからです。
 たとえば、文中で「現存する中で最古」と書かれている場合も、この本の発行後に新発見でもっと古いものが見つかってるかもしれない、とか。
 もしくは、「現在はこの説は否定されている」といった事もあります。


 大学時代、ちょっと歴史ものの小説を書いた時に、参照した本がちょうどそんな感じで。たまたま国語表現の先生に見せたら、「今はこの本で述べられてる説は否定されてるよ」って言われてショックを受けたという苦い経験があったりなかったり。


 しかし、そこにさえ気をつければ、こうした本を読んでみるのもまた一興。


 ていうか、私この本で、「肥沃な三日月地帯」ってどこを指すのか、初めて知りましたよ(えぇ〜
 言葉は知ってたんですけどね。地図上でどこの事だか全然把握してませんでした。
 この手の歴史を学ぶ場合、必ず地図と照らし合わせながら勉強すべきなんですが、どうも私にはそういう習慣がとうとう身につかなくて。相変わらずこんな体たらくだったりします。分かっちゃいるんですがね、どうも。そんなだから西洋史苦手なんだけれども。


 基本的には、旧約聖書で語られている時代の美術や、考古学関係の話題をダイジェストで図版多めで紹介してくれてる本で。解説も行き届いていたし、丁寧なつくりの本でした。


 トピックとして面白かったのは――イギリスで一時、宗教改革に対するカトリック側の反動で、「公然であろうと、ひそかにであろうと、聖書を読むことが禁止された」という記述があって、びっくりしました。キリスト教徒が、聖書読むの禁止するなんて事もあったんですねぇ。一介の日本人としては、キリスト教徒なんてどの宗派でも聖書はいつでも聖典あつかいなんだと思ってました。へぇ〜へぇ〜へぇ〜。


 そんな。まぁ、やたら古い本なんで、このブログをお読みの方がこの本を手にする機会も早々ないかとは思いますが。一応、良い本でしたよ、とここに書いておきます。