竹取物語
- 作者: 阪倉篤義
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1970/01/01
- メディア: 文庫
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先日早稲田の古書店で100円で買った岩波文庫。
やっぱ、ちょっとずつでも原典を読んでいかないとねってことで、まあ、永夜抄や儚月抄とも関係のあるこれをつらつら読んでみたり。
こちらの岩波文庫版は現代語訳は特にないのですが、元の文がシンプルで比較的分かりやすいようで、脚注を見ながらで大体読めました。
とりあえず分かったのは、かぐや姫がけっこう嫌なやつだって事です(笑)。特に燕の子安貝を取ろうとして失敗したいそのかみの中納言に送った和歌の、性格悪いっぷりが最高です。まあ、その直後に中納言が亡くなってしまって、ちょっと「あはれと」思ったりしたとのことですが。
まあでも、こんだけ自分に求婚する男に囲まれたら、さすがに多少浮かれるのも仕方ないとは言えますけどね。口では「私なんて別にことさら美しくもないのに」と謙遜しつつも、内心悪い気のするはずもなく。
とはいえ、やっぱ男の側からしたらたまったものじゃないですね。そりゃ、妹紅にも怨まれるはずだ(黙れ
しかし、この話の後半の宇宙的な広がりは、やっぱり独特で凄いですねぇ。本当に「月の都」の天人が降りてきちゃうんだから。これはすごい想像力だよなぁと素直に思います。古代の人たちの目で眺めて、あの天蓋の月にもう一つ都があるなんて、想像できたものなんだねぇ。
そして、月に帰るかぐや姫から不死の薬を送られる御門。ああそうか、「月と不死」の関連性からここで不死の薬が出てくるのか。月は欠けていって新月になっても、また満ちはじめて満月になる、その繰り返しから不死の象徴だったんでした。N・ネフスキーに「月と不死」って論考がありますね、私は未読ですが。
そして、その不死の薬が「富士の山」の語源となると。もっともそれだけでなく、この山に不死の薬を埋めにいくのに屈強な兵士を大量に送ったことから、つわもの(士)が富む山という事で富士山、という意味らしい。
へぇーへぇーへぇー。
そんなわけで。けっこう楽しく読めました。
優曇華も月のいはかさも出てきたし。そういう方向でも楽しく。
これを機に、原典読みも勢いをつけて色々手を出してみたいところです。一次資料に当たれ!