機械に菩薩が宿ったりするもんか
GUNDAM SENTINEL ガンダム・センチネル - 「玖足手帖」(呶呶日日)
http://d.hatena.ne.jp/nuryouguda/20080705/1215222750
私がセンチネルを読んで何となく、もやもやと納得いかなかった部分をすっぱり説明してくれたのが心地よくて、ついエントリーとか立ててみたりする。
基本的に同意。
小説版ガンダムセンチネルの嫌らしいところは、「戦場で女がチャラチャラしてるような軟派な話は気に入らない、本当の戦争はこうなんだよ」と言って女性のいない戦争の話を組み上げておきながら、「ALICEシステム」という形で機械の中に女性(の思考をする戦闘補助システム)を登場させる事。
そして、そのALICEが、とことん露骨に「男性にとって都合の良い女性」像であること(もしくは、そう押し付けられること)。
これが書かれたのが二十年以上前だとしても、それを差し引いて考えても、あまりにも酷すぎるというのが読んだ当時の率直な感想でした。
だってさ、ALICEは最終的には「男の我がままを受け入れる貞淑な妻」になるんだ、って堂々と書いてあるんですよ。
実際作中で、ALICEは戦闘の補助に徹しており、パイロットのリョウ・ルーツとは対話の機会も与えられず一方的にリョウの言葉だけを聞く立場であり、最後にはリョウたちを逃がして「自己犠牲」で散っていく。
で、その自己犠牲で散ったALICEに対して、地の文で「ALICEシステムは最後には菩薩になったのだ」的な事を臆面も無く書いているわけです。
男が戦争で「遊ぶ」ために、最も都合の良い女性像。
それを是として描いている作者に対して、今でもものすごい反発を覚えます。ていうか、ぶっちゃけて言えば最低だよね。
フェミニズム論に踏み込むつもりはないんですが、それでもこれを恥ずかしげもなく「本当の戦争」といって提出できるというのは……。
ミリヲタは論理的なふりをして、逆に男の子のロマンスに酔いすぎている自分を客観的に見てない
グダさんはこう書いています。
無論、何らかのロマンスに酔う事自体は別に良いわけですよ。私だって、いわばそういうロマンスに酔うためにガンダムの二次創作サイトやってたわけだしね。
ただ、もう少し自覚的であるべきで、上記ALICEシステムのような女性観を得々と掲げるようなのは、同じガンダム好きとして恥ずかしいからやめてよね、とは思う。
何が菩薩だよ。読んでるこっちが恥ずかしくなったっての(苦笑
たとえば『Zガンダム』のベルトーチカ・イルマのように、女性は女性なりの立場で戦争というものに向かい合います。劇中のベルトーチカはすごく身勝手な女性のように感じられますけれども、女性の方からすれば戦争やってる男たちだって十分身勝手に感じられるでしょう。
0083のニナ・パープルトンもガンダム界隈では毛虫のように嫌われてますが(笑)、あれだってニナの視点から見たら、ガトーとか相当身勝手な男だよねと思うし。
何が「君こそが星の屑の真の目撃者かもしれない」だ。ふざけんな(笑)。大義とやらのために散々振り回した女に対して、出てくるセリフがこれだもの。
とかく、実際にセンチネルのような甘い考えで戦争やってたら、女性の側は多分ALICEシステムのように受け入れてくれるばかりではないでしょう。応えるべき時に応えなければ、レコア・ロンドのように逆襲してくるかもしれない。
「世界が自分を中心に回ると思うな、シャア!」
富野監督はちゃんと、そうした「男の子のロマンス」に自覚的にやってるのに。特に宇宙世紀で作品を作ってる後続は、もっと作劇の面でも頑張って欲しいなぁと思うのでした。
あ、ちなみに、私はセンチネルのMSは好きです(笑)。
Zプラス最高〜。