コミックREX 東方儚月抄第十七話


 相変わらず海上移動中のゆかりん。泡の中に入って海中に潜ったり、ファンタジックな感じです。こういうファンタジーな道具立てって、やっぱりノスタルジックで良いなぁ。童話の世界なんですよね、この辺。そういうノスタルジーは、やっぱり神主は意識的にやってるんだろうなぁ。


 そして紫さんの賢者の海解説とかいろいろ。

 作られた大気(オピニオン)は海(マス)の表面に影響を与える
 しかし表面は慌ただしくとも海の中まで影響を与えることは少ないだろう
 けれどこの海は違う


 オピニオンは普通は「意見」の意味ですね。そしてマスは「大衆」。
 要するに、「作られた世論」に安易に流されず、かといって停滞もせずに、自らの思考に絶えず変化を起こし続けるのが「賢者」であるという事でしょう。
 こういう所に、さりげなく自分の見解を織り込むのは神主上手いんですね。寓話的。
 そして、藍に空き巣を命じるゆかりん


 一方、依姫さんはvs霊夢戦。
 相手が妖怪じゃないんでうりうりとゴネる霊夢さん。今回の諸悪の根源たるレミリアさんは疲れておねむでした。
 ……いくら何でもレミ様お子様すぎるだろう(笑)。そりゃあこの寝顔が膝の上にあれば、咲夜さんもニコニコしているはずですな。


 で、調子が狂うなぁと言いながら、おもむろに穢れ入りの弾を依姫さんに投げつけます。


 この展開は読めませんでした。もともと今回は自分たちが悪役側だなぁと自覚し、レミリアにもそう言っていた霊夢さんですが、とうとう開き直って悪役に徹するつもりになったようです。それで良いのか主人公(笑)。
 まあ、前回レミリアが、太陽神アマテラス的な攻撃をダイレクトに食らいつつ、別に霧状に気化して消えたりはしていないところからみて、スペルカードルールに則り命に別条はない状態で、あくまで「弾幕ごっこ」の範疇での穢れ攻撃である事は予想されますので、言うほど悪質な攻撃ではないのかな、という気もしますが。
 どうなのかなぁ。確実にそうだと言いきれるほどの決定的な描写もありませんので、確言はできませんけど。
「放っておけば月に寿命をもたらす」というのも、そういう脅しをちらつかせる事で依姫の動きを制約・牽制するためと読めます。本当に月を穢れで汚染させるつもりでない、というのは一応強調しておいても良いのかな(東方板の儚月抄スレで、霊夢たちがテロリズム行為に及んだと解釈してる人が何人かいたので)。


 ともあれ、ここにきてようやく依姫さんへの有効打が出た形になりますが、一方で「悪い方が必ず負ける」(霊夢談)わけなので、どうなることやら、という感じです。


 一方の紫さんたちも、こっちも物議をかもしそうなシーンでした。
 隙間を開いて藍を送り込むや、急にそちらに背を向けて高笑いを始めるゆかりん。そして手袋を投げて式神(カラス)を飛ばします。
 その後、藍に呼ばれて隙間に入るとその先は地上の竹林。待ちうけていた豊姫と垂れ耳レイセン銃口を突き付けられる。


 パッと見、ゆかりんが罠にはまったように見えるんですが……。
 どうも素直にそう読むのが躊躇われるんですよね。前後の描写に含みが多すぎて。特に藍が隙間に入っていった後の紫の行動が不審すぎる。


 また、待ちうけていた豊姫が言う、

 もう貴方は月に戻れない
 師匠が千年以上も前に仕掛けたトラップでね


 このトラップの件なんですが、小説版で紫自身が、月へ乗り込む前に藍に聞かせています。つまり紫はこの罠を把握していたはずなわけであり、それに対して無策であるとも考えにくく。
 そうして見ると、「いけない! 満月が閉じてしまう」とかも、なんかワザとらしいセリフに聞こえてくる(笑)。
 何より、これでゆかりんが罠にまんまとハマっただけだったら、あまりにも狂言回し過ぎるというか、間抜けすぎるというか。まがいなりにも、ここまで神主の寵愛を受けてきた八雲紫の役目がこれだけというのも、ちょっと考えにくいなぁとか。


 具体的にどうこうとは言えませんが、まだもう1、2回はどんでん返しがあるんじゃないかと予想。
 また、ロケーション的にようやく永遠亭の連中が絡めそうな状況なので、多分永琳や輝夜が出てくるんじゃないでしょうか。ていうか出てこないともう出番回ってこないよ(笑)。
 それで永琳vs紫の策士・賢者対決があれば盛り上がると思いますが。どうなることやら。
 まあ、そんなわけで、引き続き来月以降に期待。


 ああ、あと、単行本の中巻も入手しました。
 ZUN氏の著者近影で盛大に噴いた(笑)。