江戸時代
- 作者: 大石慎三郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1977/08/25
- メディア: 新書
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職場の休憩時間にのんびり読んでいた本。
タイトルは大仰ですが、内容は江戸時代の通史というわけではなく、むしろ日本史の江戸時代の項目を裏から補足するコラム集、トピック集、サブテキストみたいな内容。
年表や、幕府の仕組みなどを丸暗記してるだけでは分からない、背後の流れを説明するのが趣旨ということで、わりと楽しみました。戦国・江戸時代になって急に大規模な治水・土木工事が増える理由とかも、おーなるほどー、という感じ。
また数字によるデータや、具体的な事例を逐一示して話が進むので、非常に納得できる内容でした。地に足のついた歴史学の仕事って感じ。面白かったですよ。刊行年が古めなので、内容が古くなってないかの心配をしなきゃいけないのがちょっと気になりますが。
少し作りがルーズな本だなという印象も、一方では持ちましたけれども。最後の章で、明治維新を推進したのはだれか、というのは明治維新で誰が得をしたのかを考えれば良いんだ、と前置きして、幕末期の藩、地主たちの財政状況を語っていくのですが、結語のないまま本が終わってしまうんですね。まあ作者は推して知るべしと思ったのかもしれませんが、最後は冒頭の問題提起に戻って、きちんと話を閉じて欲しかったなと思ったりもし。そういう類のルーズさが若干気にはなりました。まあ全体から見れば些事ですが。
それにしても、社会システムを上手く回すってのは、やっぱり難しいことなんですねぇ。時代状況は刻々と変わって、農業のあり方なんかも今までと全然違ってしまう、と、それに納税とかそういうシステム側が対応するのがやっぱり大変なんだよねー、とか思ったり。
この本は主にそうしたシステムと、あと地方、農業関連のトピックが多かったのでした。一方で江戸時代はやっぱり町人文化が面白い時代でもあったんで、次はそっち方面にスポットをあてた本も読みたいなー、とか思ったりもしつつ。
ま、なんだかんだで、こうやってちょっとずつ知見を広めていくのも楽しいなぁ、というお話でした。