定本柳田國男集にトライ
最近、意を決して読み始めてみました。
本当はちくま文庫版で自宅に揃えたかったんですけど、現在入手困難の様子。それに資金的にもちょっち厳しいので、自宅近くの区民会館にある図書館に通って、少しずつ読み進める事にしました。
もちろん、移り気で飽きっぽい私のこと、最後まで到達は多分無理だと思います。まあでも、せっかく思い立ったのだし、行けるところまで行こうかなという感じ。
ちなみに、定本柳田國男集の第一巻は、高校時代に一度トライしています。で、どうにか、居眠り居眠りしながら所収「海上の道」を読んだものの、その時点で一か月が経過しており、心折れた次第(笑)。
それからしばらく放置していたのですが、先日たまたま、岩波文庫版の『海上の道』を手に取ったら意外に歯が立つ感触があったので、なら一念発起、高校時代の情熱をもう一度、というところ。
そんなわけで、地元図書館の閲覧室で、相変わらず居眠りを挟みながら読み進めていきます。
とりあえず、先述のように『海上の道』は、職場の昼休みにちびちび読んでいるのでパス。「海南小記」の「炭焼小五郎がこと」まで読了しました。
「海南小記」は旅行記みたいな内容なんですね。現地の人たちの描写ややりとりなんかもあって、期待してた論考的な内容とは違いつつ、けっこう楽しみました。
ていうか、やっぱり思うけど、柳田は名文家だなぁ。普通に紀行文としてレベル高いです。
もちろんそれだけでなく、現地の風俗文化にも言及がありますが。
何となくそうなんじゃないかなと思って巻末で確認したところ、案の定新聞に連載されたものでした。
面白かったのはその次の次、「炭焼小五郎がこと」。そうそう、こういうのが読みたくてトライし始めたのです(笑)。
一応、この昔話(伝説?)のアウトラインは知っていました。しかし本当に表面部分だけだったんで、この稿を読んで驚いた事がたくさん。
たとえば、「金売吉次」。某『宗像教授伝奇考』で、義経の東下りの手引をした人物として挙がっていたので辛うじて知っていたこの名前が出てきて、まずびっくりしました。なるほど、確かに「金」を「売る」というのは文字通りに取るとちょっと考えづらく、当然金属製品を売る人たちだったのか、という推測に行きあたるというのも言われてみれば納得です。そこから、疑問があるとしながらも、柳田はこの炭焼小五郎の話を全国に伝えたのが「金売」たちだったのではないかと推測しています。それも面白いし、関係ないですが上記宗像教授のぶっ飛んだ仮説を補強する材料にもなってしまって非常に楽しいですね(笑)。
昔話「炭焼小五郎」と、源義経との間に補助線が一本引ける、ということ。
まあ、だから何だっていう話なんですが、こうして思いもよらないもの同士が結びつくというのが、私にとって非常に面白いのです。
そんなわけで、今回はここまで。
飲食はもちろん、ガムや飴玉すらなぜか禁止されている近所の図書館に通いつつ、さてどこまで進めるものか。自分との勝負であります。