はじめに基本方針のこと


 何を始めるかと言うと、別に大したことはなく、単に休日に東京近郊を歩き回ってみよう、という企画です。


 基本的に私は書斎派でして、休日も家のPCの前で文章書いたり、せいぜい読書したり、あとはゲームやったり、ニコニコ動画でゲーム実況動画をだらだら見て気付いたら「うお、もうこんな時間か!?」なんてことをやったりしてたわけですが(ぇ
 いつぞや、都電荒川線沿線を歩き回ったり、神田神保町の古本まつりに出向いたりして、なにも遠くへ旅行と洒落込まなくとも、近場の、東京都内を歩き回るだけでも案外楽しいということに思い当りまして。
 もともと、足の向くまま歩き回るのは好きな性質でしたし、じゃあ時々歩き回ってみようか、という気になったのでした。


 大体、私の実家も隅田川のほとり、向島のあたりですので、ちょっと足を延ばせば浅草をはじめ、けっこう見どころはあったんですよね。けど、案外自分の生活圏の近くって散策したりしないもので。
 だからまぁ、逆に散歩気分であちこち歩き回ってみるのも良いかなと、そんな感じです。


 とはいえ。
 私は生来のひねくれ者でもあり、「順路通りに進んでください」とかいうのは大嫌いです(笑)。なので、ガイド本にのってる「散歩コース」をその通りになぞる、なんていう方法では全然心楽しくありません。困った事に。
 従って、基本ルールは大体以下のようになります。


・スタート地点は出発の際に決めておく。
・事前の下調べは、しない。
・スタート地点に到着後、駅周辺にある地図案内板を眺めて、行きたい方へ行く。
・どうしても周辺で見るものが無くなってしまった場合には、電車で別な駅へ移動も可。


 ……正直、有意義な散歩をするにはあまり賢いやり方ではありませんが。
 しかしまぁ、目的もないまま、住宅地に迷い込んでうろうろ歩きまわってもそんなに苦にならない、私向きの方法でもあります。
 つまりタイトルのまま、「彷徨すること」が目的という次第。


 それに、多少の思惑もないでもありません。
 自分の住む「東京」というこの街の事を考えてみようと思うのです。
 中世までは単なる地方、田舎に過ぎなかったのが、やがて近世に江戸という大都市になり、明治になって急激に西洋近代化がなされ、第二次大戦後は高層ビルの並び立つ摩天楼の仲間入りを果たし。けれど特に明治以降の発展がいかにも性急で、現代的なビルの合間に唐突に江戸やそれ以前が転がってたり、どうにも統一感のない変な街になってるような気がするのですよ。
 駅前の喧騒、パチンコ屋のあるロータリーから、わずか5分ばかり歩いただけで神社の神域があって神聖な空気を醸し出してたり。現代的な摩天楼、ビジネス街の壮麗な景色が広がってるのに、ちょっとそこから路地裏に入ったら、ホウキとちりとりが立てかけてあって、ランニングシャツ一丁のおっちゃんがタバコ吸ってたり(笑)。
 どこの街にも歴史はあるでしょうが、こんなちぐはぐになってるものなんでしょうか?


 まるでハリボテみたいだ、と思う事があります。
 だからこそ、上に書いたように無計画に歩いてみようと思い立ちました。雑誌に載ってる散歩コースをその通りに歩いても、それではハリボテの表側しか見えないと思う。
 そうではなく、ハリボテの表と裏を行ったり来たりする事で、もうちょっと掘り下げて考えてみたいな、と。



 ……あとはまぁ、地名と地図上の位置がぜんぜん一致しない私への訓練(笑)。


 そんなわけで、まあとりあえずスチャラカに、気楽に歩き回ってみようと思います。
 で、今回はその第一回目。