第5回 目黒散歩


 もともとこの企画に、特に遠大な計画性や緻密なスケジュールがあるわけではございません。行きあたりばったりというか、出たとこ勝負というか。思いつくまま。


 で、先日の記事へのコメントで「目黒不動とか行ってみたら?」という提案をもらっていて、じゃあ面白そうだから行ってみようか、という次第。



 なお、今回は同行を希望するモノ好きな方がいらっしゃいまして(ぇ
 職場の先輩で友人のタラコ氏。ありがたくも私の記事を読んでくださいまして、「ぜひTao散歩に参加してみたい」とおっしゃってくださいました。Tao散歩ってなんですか。地井散歩に対抗ですか。


 そんなわけで、目黒発の弥次喜多道中記




 今回は軽めを想定していたので、12時にタラコ氏と待ち合わせて、12時半ごろに目黒着。そしてまずはお昼御飯を食べようというのんきな流れ。



JR目黒駅前の大通り。広々とゆったりした雰囲気でした。道幅はもちろん、町全体が開けてる感じ。


 で、駅近くのインドカレー屋にてカレーを食す。相変わらず踊りまくりなインド映像を鑑賞しながら、タラコ氏と雑談しつつ。お茶もゆっくり飲みつつ。この企画始まって以来の穏やかな昼食タイム。



 食後に出発。まずは目黒不動へ向かうため、目黒線不動前駅を目指します。
 今までこの企画で歩いた中では、かなり明るい印象の町並みを歩きつつ。



 マンションに付属したスペースなのか、階段を上った先にある謎の円卓スペース。近くでギターをつま弾いてるオジサンがいたりして、情緒があるような、怪しげなようなw



 そこから階段を下りると、現れる謎のヨーロッパ風スペース。
 オシャレに見えますが、これ向かい側は線路です。いつも思うんだけど、個人の敷地内で気張ってオシャレにしてみても、周りの町並みは変えられないんだけどなぁとか。いや頑張りは認めるけどさ(笑)、確かに見えるよここだけ西洋風にw



 さらに歩いていたところで見えた、謎の巨大パラボラアンテナ。写ってないけど、奥にもあるんで計3基です。でっかいよこれ。っていうかさっきから謎ばっかりか。


 実は線路沿いの風景というのも、時にけっこう面白かったりしますね。起伏もあって、面白い情景がけっこうありました。
 タラコ氏に「ありゃ何でしょうねぇ」などといちいち指さして話しつつ。



目黒川。頭上を電車が走ります。



見りゃ分かりますが紫陽花。先日の新宿散歩でも紫陽花はよく見かけましたけどね。しかし、色が混ざってるのが珍しい気がしたので撮影。赤、青、紫が一緒に咲いてるのってどうなってるんだこれ? 確か紫陽花の花の色は土の成分で決まるんでしたっけ。
なんだ、カクテル状態なんでしょうか土w



 そんなこんなで、あちこち物見しながら不動前駅へ。さらにもの静かな町並みを歩いて、目黒不動瀧泉寺)へ到着しました。
 うお、これは凄い。東京にあるとは思えないような、広さと雰囲気のあるお寺。
 創建は円仁だそうで。江戸時代には将軍家光の帰依があったとか。元々は江戸のあちこちに目黒、目白、目赤、目黄、目青の五色不動があったとか書かれていて、目黒不動はそのうちの一つというわけで、へぇーと。いや、「目黄」ってなんか語呂悪くね? とか思いつつw



本殿に上る階段の手前にある池。写真ではあまり伝えきれてませんが、けっこう荘厳な雰囲気があります。
 で、この独鈷の滝にある不動明王像には水をかけると良いそうで。なんか我々の目の前で、どこぞの善女らしいお姉さんが、それはもう、ものすっげぇ勢いでこの不動像に水をぶっかけていまして(笑)。一番大きい柄杓で水すくって、もう思いっきりバーンってw
 それにならって私も思い切り水をかけてみたりしました。跳ね返った滴が冷たいよぅ。



 こちらは控え目に水をかけているタラコ氏(写真加工済み)。彼はちょっと手つきが遠慮勝ちだったりして。せっかくだからもっと思い切りやればいいのにーとか思う(何かもう趣旨が違う



 一通り終えて、本堂へ。お参りを済ませます。
 で、タラコ氏がおみくじ引いていたので、普段はしない私も100円を投じておみくじ引いてみた。吉でした。旅行には障りなし、ってことで、京都行を控えてる私にはありがたい結果が。



目黒不動瀧泉寺本堂



 他にも、不動明王の眷属の八童子がいたり、見どころの非常に多い所でした。いや、この企画始まって以降で行った東京の寺社の中では一番ですよ。
 本堂の裏手には、不動明王の本来の姿である大日如来の坐像もあり、こちらも存在感の大きい像でした。
 堪能。


 近くに青木昆陽の墓があるというので、そちらも覗いてみたり。
 もっとも、私もタラコ氏も、せいぜい「救荒作物としてサツマイモを広めた人」くらいしか知らないわけで、それなのにお墓を参るなんてなかなかにミーハーだなぁとか言いつつ(笑)。まあでも、現場に案内板が立ってたので、そこそこの事績を改めて知る事はできました。けっこういろいろやっていた儒者だったんですね。


 不動前駅方面へ戻りつつ、目についた他のお寺にも入ってみる。



海福寺。禅宗のお寺ですね。密教系のお寺に比べるとやっぱりちょっと質素な感じ。


 ここに、江戸時代の永代橋崩落による死者の供養塔とかありました。そういえば聞いた事があるなぁ。宮部みゆきが対談か何かで話してたのを覚えてる。


 途中にある「蛸薬師」にもお参り。
 何が蛸かって、ここの薬師如来が乗る台座を支えてるのがタコなんですって。そういうデザインなんですな。一応ここも、慈覚大師円仁の創建だとか。
 お堂のガラス戸の向こうに、一応その薬師像が見えたのですが、遠すぎて蛸は目視確認できませんでした。言われてみれば蛸の足っぽいのがにょろにょろしてるかな? くらい。



代わりにここの絵馬を撮影。紛うことなき蛸。


 他に、通り道に五百羅漢寺とかいうのもあったんですが、外観がお寺っぽくなく、拝観料を取るようなので、タラコ氏と顔を見合せて今回はパスすることに。まぁ、またいずれ機会もあらぁな。



 不動前駅へ戻り。そこから逆側にある氷川神社へ向かいました。



氷川神社。ここも大きくて雰囲気のある神社。写真右下の売店(?)がなければかなり威厳のある本殿なのに。


 で、このすぐ近く、ちょっと階段下りたあたりに児童公園があったのですが。そこで素敵なものを発見。



迷路。公園にこんなの設置されてるの初めて見た。


 こういう時、等しくガキに成る私とタラコ氏でありまして。周りに人がいないのを幸い、レディ、ゴー!(ぇ



先に悠々ゴールした私が、未だ迷宮をさ迷うタラコ氏を撮った勝利の1枚w


 わっはっは、と無駄に勝ち誇る私。この手の遊びで氏に負けたことなど、あんまりないっ!


 ……と、年を考えずにはしゃいだりもしつつ。
 ここから、この企画恒例、あてどなく住宅地をさまよい歩くおなじみの行程に突入しました。


 まもなく、目黒線の沿線に出た模様で。
 途中にちょっとした緑地公園があったりします。公園といっても左右に申し訳程度の草木を配した遊歩道的なもの。
 で、案内板を見てみると、目の前にある池に「ビオトープ」とかいう物々しいキャプションがついていました。つまり生物のすむ場所、くらいの意味ですが。
 カタカナで名前つけるとカッコ良いけど、目の前にある「ビオトープ」という名の池、せいぜい長さ2〜3メートルくらいの細長いただの池なんですけどねぇ。まあ魚は泳いでるけど。



池の中のお魚。鉄格子(?)の下を泳いでいるのが珍しかったのでパチリ。


 まあ、これくらいの広さでも、あるとないとでは違う、って事なんですかね。ビオトープ



 やがて辿り着いたのが、目黒線西小山駅
 ここがまた、なかなか気持ちのいいところでした。駅前広場が開けていて気分良いというのもあるんですが、商店街が非常に良かったのですよ。活気もあって、お店もいろんなのが入ってて。ショッピングモールっていうのとも違う、「商店街」としか言いようのない空気で、なおかつ元気で。いいなー、うちの近くにああいう商店街があったら良いな。



しかし、写真に撮るのはこんなのだった(ぇ
タラコ氏と会ったのが久しぶりで、歩きながら、共通の話題として天下の公道でガンダム話を語ってたりしたわけですが、お陰で撮る写真までこの体たらくですよ。


 で、お好み焼きとたこ焼きのお店がありまして、小腹がすいた頃だったのでつい買ってしまう。絶賛ダイエット中のタラコ氏にタコ焼きを半々で食うよう仕向ける鬼畜私(ぉ
 またこのお店のお兄さんが、6個入り350円のたこ焼き買ったのに、無言で1個サービスして7個入れてくてたりする気風の良さ。あーもー。惚れてまうやろ(違



 で、男2人、タコ焼きを食いながらさらに住宅地を歩く。
 なんというか、静かな感じのする地域でありました。「閑静な住宅地」とかいうのともちょっと違う、良い意味でもうちょっと鄙びたような。何だろう、昭和っぽいっていうか(笑)。
 そういえば、表通りに洗濯機がポンと置いてある民家もありましたっけ。あれ、洗濯するたびに家の外出てくるんだろうなぁ、1車線とはいえ車も通る道端で洗濯機に衣類を出し入れするのでしょうか……。


 さて、この日はわりと神社仏閣の当たりの日で、適当に歩いてただけなのに、またしてもなかなか素敵なお寺に行きつきました。
 天台系のお寺で円融寺というそうで。



仁王門。この写真で分かるかどうかですが、これすっごい古色ですよ。
普通観光寺とかだと、古い建物でもそれなりに小奇麗なものですが、これはそうでもなくて。中世に造られ、江戸時代に改修されたらしいですけど、とにかくそれ以来放っぽってありました的な古色が、かえって迫力。



そして釈迦堂。後で調べてみたら、木造建築として都内最古の建物なのだそうで。
無計画に歩いてたまたま行きついたにしては、上出来すぎる観光地ですね。こちらも、何と言うか迫力としか言いようのない古色があります。


 ……まぁ、そうした建物に感嘆しながら境内を歩いたかと言えば、どちらかというと関係ない無駄話をしていたわけですが。
タラコ氏「ここで俺ら二人が行方不明になって、それでOさん(私とタラコ氏の共通の友人)が探偵役で、足取りを追いながらこの寺まで来るとか、そういう話どうよ。ここまで撮ってきた写真とかが手掛かりでさ」
私「……ほほぅ。ここまで撮ってきた写真ってらーめん屋“百式”とかですが。多分Oさん呆れて探してくれないっぽいけどなぁ」
 とか、そんな話してました。さぞお釈迦様も苦笑していたことでしょう(笑)。



 円融寺を出て、なおも家々の合間を歩く。そして、さほど行かないうちに、木々の緑が目につきました。入っていくと、今度は神社の境内。



杜。東京23区内にも、探せばまだこんな場所があったりするもので。



碑文谷八幡神社
なんか、勝海舟ゆかりの品が所蔵されてたりもするそうです。


 そんなこんなで、寺社めぐりを満喫した両名でありましたが。
 いつもならまだ余裕のある時間なのですが、この日は上にちょっと名前の出たO氏と久しぶりに飲む約束も控えておりまして、そろそろ撤退の頃合。
 とにもかくにも最寄りの駅へ向けて進む。



 途中、国道沿いの歩道橋の裏側の落書きがツボにハマったのでつい撮影。



おどろおどろしい事書いてあるように見えて、よくよく読んでみたら「ヒトトシテ」。
あれだ、きっとこう、落書きしちゃうような不良さんなんだけど、実は金八先生は好き、みたいな、そんなヤツなんですよきっと(えぇ〜



 結局、東急東横線都立大学駅へ到達し、そこから無事撤退を完了したのでした。
 途中ちょっと焦ったけれど、最終的にはわりと時間に余裕をもって駅に辿りつけたのでした。この辺、どこかしらの駅が必ず近くにある東京のありがたいところ。


 この後、無事合流を済まして、妙にハイテンションなカラオケと飲みをこなしましたが、そこは割愛ということで。この日の東京彷徨はここまで。


 今回歩いたコースの概略はこの通り。まあ、詳しい路地一本一本までは追い切れないので、大体です。


 同行者もいたので、距離的にも時間的にも少し抑えめにしてみましたが、なんだかんだで見ごたえのある場所を色々と回れたので、良かったかなと思います。
 また、駅前商店街などは私一人だと通りかからなかったでしょうが、そういうところも歩いてみると面白いと分かったりして、私にとっても有意義でした。スペシャルサンクスタラコ氏。



 で、目黒周辺散歩となった今回ですが。いや、良いとこでしたよ目黒。開発され過ぎてもいないし、それでいて生活に困るほど鄙びてもいないような。
 神社やお寺の境内はもちろん、たとえばJRの目黒駅前にしても、なんか広々と余裕がある感じがして、曇天の日だったにも関わらず、明るい開放感をずっと感じてました。
 本当、東京23区内にこんな場所がまだあったんだなぁとか思ってしまった。
 とりあえず、山手線周辺で寺社めぐりの軽い観光がしたいなら、目黒お勧めかも。



 というわけで、今回はここまで。次回はちょっと間が空くと思います。