お台場の1/1ガンダム見てきた
ネット友達である電脳玩具職人のそーごさんに声をかけていただき、まあほかならぬガンダムですし、見に行こうという事になりました。
お昼ごろに合流しまして、とりあえずビッグサイトでやっている「東京おもちゃショー」を見に行ってみようという事で。
ゆりかもめに乗って移動してたところ、窓からちょうどガンダムが見えたのですが……なんか顔を上向けて、胸のダクトとかから煙をもうもうと立ち上げてまして。
えっと……ガンダム、エンストですか?(違
で、おもちゃショーを二人でのんびり眺め。まあこちらも色々と珍しいものが見れて面白かったのですが、今回は略。とにかく、よくまぁ色んな事考えるなぁという(笑)。
で、大体4時半少し前でしょうか、お台場潮風公園のガンダムのもとへ馳せ参じました。
遠くから。
よく、18メートルもの巨大なメカが地上を歩いてたら砲撃の的だ、という議論をガンダムファンサイト時代に聞いたりしましたが、18メートルくらいだと意外にちょっとした低い木とかにも隠れてしまう印象。まあそれでももちろん、戦車とかに比べれば当てやすいでしょうけど。
で、近くへ行ってみた。
とりあえず何がびっくりしたって、その人出の多さですよ。
確かに休日だったけども。とりあえず現地には、本当に見るものはほぼガンダムだけなのです。それも、一応30分に1度首を動かすというアクションはするけど、基本的にはガンダムを眺めるか、写真を撮るかしかやる事ないわけですよ。私が行った日に関しては有名人が来るわけでも、ライヴとかがあるわけでもなく、アトラクションの類いがあるわけでもなく。本当にガンダムだけ。
なのに、何かとんでもない動員なのです。その事にビビりました(笑)。さすがガンダム大明神様といったところ。
人数待ちの行列ができてまして、そこに並べばガンダムの足元へ行く事ができます。ガンダム様のつま先をペタペタ触って、股の下を通って来る事が出来るという事で。とりあえず行くしか。
足回りの詳細2
細かく色々あるのは、「CAUTION」その他、いろいろと英語で細かく何か書かれてます。整備員向けの注意書きといったところ。
しかし何て言うか、ハッチとかこういう風に作り込まれると、「近藤ディティール」って感じですね(ぇ
背面。スラスターノズルとか凄い。あとビームサーベル超太いw
とりあえず、足元から見上げるとさすがに大きいのですが、少し距離を置いて見ると、むしろ「意外に小さい」という感想が湧いてきます。
たとえば、『08小隊』でノリス・パッカードが最後の出撃をする際、ノリスさんが手前を歩き、その奥をグフカスタムが歩くシーンがあります。そのバランスを思い起こすと、どうも現実のガンダムの方は少しやっぱり小さく感じるなぁ。
とはいえ、これが飛んだり跳ねたりする事を考えると、やっぱり半端じゃない存在感です。高さにしてビルの4〜5階相当だもんなぁ。こんなのが倒れてきたら大変なことに。
あちこち、いろんな角度から眺めているうちに、時刻は5時。ここでガンダム劇中のBGMが流れ出し、それに合わせてガンダムが各部を発光させたり、首を動かしたり、ダクトから煙を吐くアクションを見せてくれます。
正直、そんなにアクション自体はすごくないし、煙吐き出すのはやっぱりエンストにしか見えない(笑)。
メカニック何やってんの!
しかし、ガンダムが顔を上向けて天を仰ぐという、それだけで何か妙な感慨がわいてくるから不思議だ。一通り動き終わったあと、周囲からは拍手が。
で、その後、売店でお好み焼きを買って、ガンダムを眺めながらお夕飯。
とりあえず出店してる食べ物屋は、全然まったくガンダム関係ではなく。そーごさんと二人で、「どうせならガンダムにちなんだ食べ物とか売れば良いのに」とか言ってましたが、よく考えるとガンダム劇中にあまり美味しそうな食べ物が出てきた記憶がない。なんだ、アムロが(死んだ目で)食べてたサンドイッチとかか?(笑)
で、お好み焼きを頬張りながら潮風に立つガンダムを眺めていたら、何かだんだん楽しい気分になってきました。言葉にならない感慨みたいなのがいろいろ湧いてきて。
そーごさんは、別な友人との待ち合わせの時間になってしまい、途中で帰られたのですが、私はその後もずっとガンダム眺めてました。5時半に別れて、それから7時過ぎまでいたから、1時間半以上、ずっとガンダム見てた事になる。
何がって、これを本当に実物大で作ってしまうという、日本の(良い意味での)バカっぷりが、もう清々しいというか、癒される(笑)。
普通、「たかが」ロボットアニメに出てきたメカを、実物大で作ったりしませんよ。昔ボトムズのメカを趣味で作った人がいて大きな話題をまいたりしましたが、これは個人製作じゃないですからね。
普通、こんなの作ったって、経済的に採算がとれるわけがない(笑)。常識で考えれば出来るはずがないそれが、出来てしまっているという、目の前の状況がね、何かすごかった。
同時に、劇中通りの大きさで、よく知ったガンダムが目の前に厳然と存在しているという、その事の実感に、言葉にしがたい衝撃みたいなのを感じてる自分がいた。
だってこれは、これを作れたって事は、単にガンダムマニア同士が楽しむっていう枠を超えた何かになってるように思うのですよ。
大げさに言えば、人が自らの想像力に対してどう向き合うかっていう事の、何か新しい画期なんじゃないかとか、そんな気さえするのです(笑)。もちろん作品としてリアルを志向されていたとはいえ、絵空事のロボットアニメとして生み出されたものが、ここまでの存在として作られたって、これすごいよ。
富野監督もインタビューの中で、この実物大ガンダムについて意外なくらい肯定的な事を言っています。
富野由悠季監督が語る「ガンダム30周年」
http://robot.watch.impress.co.jp/docs/news/20090707_300538.html
富野氏自身は、実物を観る前は「あんなオモチャカラーが18mになったらみっともない」と思っていたそうだが、実物を見て180度変わったそうだ。「オモチャカラーのガンダムは兵器ではなかった。あの色は、政治論や経済論などを超越できる色であり、あの色の上に立って物事を考えられるようになれれば、我々は1万年を乗り越えられます」と熱く、熱く語った。
当初否定的だった富野監督が、実物を見てこう思い直した、その気持ちの事をずっと考えていたのですよ。いわばこの記事を事前に読んでいなかったら、私はやっぱり「そんなみっともないもの」と思って、お台場までわざわざ見に行かなかったです。
政治論や経済論では、こんな(良い意味で)バカな物は建たない。そしてそれは兵器でもない。
オモチャカラーのロボットという絵空事が、現実にこうして顕現しているというのを眺めるのは、何だか私にとって、すごく勇気づけられる光景でした。それは、フィクションという絵空事の中で追い求めた思考や目標や理想……もしかしたら青臭いかもしれない理想も、同じように現実に顕現させる事が可能なんじゃないかという……そんな根拠のない勇気で。
ガンダムを見上げる人々。
私は正直、ガンダムシリーズの中で、ファーストガンダムに特に思い入れがあるわけじゃないのですが。それでもこのガンダムを見上げている時間は、なんか心楽しかったなぁ。
これは、ガンダムファンなら見て置いて損はない物、なんだと思います。行ける人はぜひ行くべき。特に、8月1日以降は、このガンダムの左肩に東京オリンピック招致のロゴがついてしまうそうなので(笑)、そんな無粋なものがつく前に見ておくべきかなと思います。
ガンダムだって時代を開けるはずだ!