幻想譚グリモアリス2 千の獣が吼ゆるとも



 ライトノベル読むの久しぶりかな? なにげにミステリ文庫時代から読んでるシリーズ。
 アコニットさんのよく醸成されたコクのあるツンデレぶりと、そして誓護君の知恵のまわり具合を楽しみに時々手に取っています。


 ファンタジア文庫に移ってから、謎ときよりもバトルに重きが置かれるようになったわけで、さすがに良く書けてはいますが、瞠目するほどではない。アイギスを使用した戦いの駆け引きや描写なども上手くはありますが、鮮烈な印象が残るほどでもないんですねぇ。某禁書目録のように、決め台詞があるわけでもないし(笑)。
 まぁしかし逆に、その辺りに斬新さを求めなければ、一定以上の面白さと共に読み進められる作品ではあります。それくらいの安心感はある。
 ある程度面白ければOKか、それとも、多少危うくなってもそれ以上を求めるのかで評価が変わってきそうな感じ。ちなみに私は後者寄りなんですけどね。


 前作に出てきた御子神さんの仲間4人組は、デスノートまっしぐらな世直しを目論んでいると。この辺、やっぱりデスノが提示した「世直し」の形が、現代の感覚にマッチしてたって事なんでしょうね、良い意味でも悪い意味でも。
 しかしこちらの情勢と、グリモアリスの刺客オドラさんの話とが同時並行していて、そこがサスペンスとして成功はしているのですが、この巻だけで言えば若干消化不良っぽい感じもする。まあ、それくらいの方が次に読者を引っ張れるか(ぇ


 で、土壇場で発動した、アコニットさんに仕掛けられていた誓護君の隠し玉で心底から意表をつかれる私(笑)。ちょっと私の中の誓護さんイメージが激変しました(ぉ
 そして最後、オドラさんを説得するわけですが……うーん、誓護くんにしては決め手が甘い印象です。
 あの説得でオドラさんが味方についてくれる事が、まぁあっても良いんですが、それはオドラさんがよほど現在の身分、役目に未練が無い状態でないと。いくら面白い方が好きだからって、生活している以上はいろいろとしがらみがあるのが普通。オドラさんだって身分が身分ですから、いろいろと責任とかもありましょう。それをあの程度の説得ですべて捨てるというには、それなりの背景がなきゃいけない(作者の視点で言えば、伏線とも言う)。
 まして、誓護くんはオドラ側の情報をほとんど把握していなかったわけですしね。それで臨むには、あの説得はやはり決め手に欠けるなぁ。


 あと、オドラさんが味方になった事で、我が愛する軋軋くんが霞んでしまわないか心配(笑)。


 そんなところで。やはりあちこち気になる所はあるのですが、なんだかんだでキャラの魅力は感じているので気まぐれに手に取ってしまう、という感じでした。
 次を読むのはいつになるかなぁ。