ナンセンスの絵本


完訳 ナンセンスの絵本 (岩波文庫)

完訳 ナンセンスの絵本 (岩波文庫)


 以前、高山宏『アリス狩り』で知って、たまたま機会があったので買ってみました。キャロルと同時代の、ナンセンス作家。
 それで、読んでみたのですが、いやはや、これは……(笑)。


 内容は、童謡のような戯れ歌に、同じくシンプルな筆致の戯れ絵がついているもの。その内容たるや、ナンセンスを看板に掲げるだけの事はあるというか、普通に意味不明(笑)。山も無いし落ちも無いし、意味も無い。何とも説明しがたい感じです。
 そんな感じで短い4行の戯れ歌が、延々続くので、メリハリがなくて眠くなってしまったり(ぇ  まぁ、滑稽さにクスリと笑ってしまったりもするのですが。


 それにしても思った事は、ナンセンスにも色々あるのだな、という事で。
 ルイス・キャロルのナンセンスは、数学や論理学を知悉した上で仕掛けられていたり、または政治に対する風刺が含まれていたりするわけですが。それに対してこの『ナンセンスの絵本』のリアのナンセンスというのは、そういう難しいところはない。もっと言えば、屈託がないというか、邪気がないというか。本当に子供そのままなところがあります。基本的に、作中で起こる事も能天気だし、ネガティブな出来事が歌われても、そこに深刻さは現れませんし。
 もっとも、屈託がないから、無邪気だから心地よいかというとそうでもなく。
 むしろ、3歳くらいの子供が一生懸命何か話してて、どうにか理解しようとして聞くんだけど、脈絡がなくて結局意図が分からなくてちょっとイラっと来るというような、そんな感触もあったりしました。
 いや本当に、「理解」しようとして読むと、徹底的に躓く本です。とっかかりがどこにもない。
 読むなら、ぼーっと流し読んで、時々クスッと笑うくらいがちょうどいいのかなと。



 それにしても、出てくる人物の大半が、The Old Man、すなわちオッサンなわけですが、これも何かのこだわりなのか、単に語呂の問題なのか(笑)。
 まあ、たまに若い女性も出てきますが、絵を見る限り特に美人に描くつもりもないようなので、別に良いんですけどね(何


 そんなわけで。なんか、読んでて疲れる本でした(笑)。