捜神記
- 作者: 干宝,竹田晃
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2000/01/01
- メディア: 単行本
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東晋代の歴史家が書いたもので、後代の説話集の元祖のような本。
仕事の休憩時間にちまちま読んでいました。
平凡社ライブラリー版は翻訳分のみで原文での表現が分かりませんが、それでもなかなか得るものはあったり。
とりあえず、京極夏彦が『魍魎の匣』で引いていた記述を確認したり、孔子のエピソードを拾ったり、地道に興味深い話題を拾ってはメモするわけですが。
それとは別に、読みモノとしても何とも言えない味わいと面白さがありました。
著者が歴史家なせいか、こう、「物語」に慣れてる身からすると微妙にズレてくるのが変にツボにはまったりします。歴史家的に、事実を記載しているというスタンスのせいなのでしょうが……物語なら当然「こう来るだろう」という予測が絶妙に外されるのです。
謎の妖怪が出て、豪胆な勇士がそれに立ち向かって正体を暴きましたって書かれてるんだけど、その正体が何なのかは記述されてなかったり(笑)。
ケチで嫌われ者だった男が死後に怨霊みたいになって、自分を土地神として祀らないと疫病流行らせるぞと宣託があって、以降実際に疫病が流行って何人も死者が出て、その男を土地神として祀ってお供えモノとか供えるようになったら疫病が収束しました、終わり、とか。え、その結末で良いの? みたいなw
何となく具合が悪くなった男が、医者に診てもらっても治らないから高名な呪術師に見てもらったら、呪いがかけられている、近いうちに死ぬだろうと言われて、本当に死にました、終了、とか。え、そこは助けるんじゃないの?(笑) エンタメ小説書き的にはそこは当然助けるものだと思っていたので壮大に肩透かし食らったり。
そんな感じで、勧善懲悪、話にオチを付けるのが基本である説話集とかと比べても、そういう物語的な作為がないので、逆に新鮮に読めたりしました。
正直、ヤマなしオチなしイミなしで、どう対処していいか分からない話も多くて、読んでてイライラしたりもするのですが(笑)。そういう部分も含めて、変わったものを読みたい場合にはけっこう面白いのではないかと。
そんなところで。