人間とはどういう生物か


人間とはどういう生物か―心・脳・意識のふしぎを解く (ちくま新書)

人間とはどういう生物か―心・脳・意識のふしぎを解く (ちくま新書)


 4月2日読了。
 ロボットの人工知能などを手掛かりに、人間の認知や意識を探る、という内容。


 うん、正直言葉足らずだと思った。新書のボリュームだからしょうがないのかも知れないけど、飛躍が多すぎる感じ。特に後半が顕著で、これはオカルティズムだと思われてもしょうがない。
 特に、量子過程の重ね合わせの話から、「意味作用によって、観測する前にどの可能性に決定されるかの確率を変更できる」、ゆえに意味作用(心の働きなど)が進化や物理現象に影響を与えたかも、という、肝心な部分がほとんど説明されてないという印象。「観測前に確率を変更できる」という部分の実例による根拠って、巻末の注釈に少し触れられてるだけだし。うーん、という感じ。
 正直、科学読み物としては議論が粗すぎるのかなと。いろいろと思考実験の材料が提供されていて、刺激的で面白いのは確かなんだけど。


 しかし一方で、創作のインスピレーションとしてはとても有意義な本でもあって。
 著者の言う「量子過程」の理論で、そこに影響を与える「意味作用」に言語が含まれるなら、応用して考えればこれは、呪術とか魔術を肯定できてしまうわけですよ(笑)。
 私が今書いてる小説で、リフレインとして「意味によって物理法則を凌駕する技を呪術という」というフレーズを使ってるけれど、まさにその通りの事が起こり得るという話になるわけだ。おいおい、と思いながら読んだわけですが。
 そういう意味では、中二病な創作作品を構想している諸氏は、ぜひこの本は読んでおくべきだと思うわけです(笑)。少なくとも、ちくま新書に入れてもらえる程度の信憑性で呪術や魔術が議論できるかも知れないという話は、私のような人間には魅力的w


 とりあえず、余裕が出てきたら量子論の勉強をしてみようと思った(ぇ