森博嗣の半熟セミナ
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 文庫
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8月21日読了。
完全なる息抜き読書。1テーマあたりイラストつき4ページの会話形式で、科学・工学系のコラムをまとめた感じです。肩ひじ張って読むようなものでもなく、気楽に。
とはいえ、内容が薄いかというと、そうでもなく。軽い仕上がりながら読後感としてはかなり満足できる一冊でした。元々森博嗣氏は言語センスの面白さが独特で、小説なんかも学生時代にはかなり貪欲に読んでいたものですが。この本はセンスだけで読ませるようなものではなく。
むしろ、エンジニアってこういう発想をするのか、というところで何度も目からうろこが落ちた気分でした。エンジンなどの駆動系を「リニア(直線運動)」と「ロータリィ(回転運動)」の2要素で眺めた上で、「しかし生物の体には回転している部分はどこにもない」って指摘されると、ハッとしたりして。こういうの面白い。
単に新しい知識を拾うのも楽しいけど、実際一番面白いのは、新しいものの見方、新しい発想法に触れるのが別格に愉しいわけなのです。その辺、いかにも面白かった。
あと、文系が抱きがちなロマンを粉砕してくれるところも(笑)。宇宙人が仮にいたとして、やっぱり人間に似てるでしょうかという問いに対して、同じ地球上でも人間と同じ形の生物は少ないよ、って答えるという、この醒めた感じが最高なのでした。常識で考えるって、実はこういう感じの、事実に基づいたドライな、醒めた目を失わない事なんだと思うなぁ。
そんな感じで。なかなか愉快な読書時間でした。