2013年


 毎年恒例の、一年振り返り記事。
 なんだかんだで、今年も充実した一年でした。日々の歩みは遅いようでも、こうして一年ごとに振り返ると、やっぱりちゃんと蓄積を感じられるのは嬉しいところ。
 特に今年は、かなり精力的に動くことができた一年でした。



    ○執筆


 今年はとにもかくにも、ガンダムAGE各話解説を書いて書いて書き続けた一年でありました。
 今となっては信じられませんが、当初は半年くらいで終わらせるつもりでいたのだから相変わらず自分の見積もりは甘い(笑)。しかし、後述するようにたかだか原稿用紙300枚の長編小説を書きあげるのにだらだらと5年もかかっていた私にしては、珍しく着実な進み具合でした。正直、飽きっぽい私の事、半分も行かずに中断していてもおかしくなかったわけで……これはやっぱり、『ガンダムAGE』という作品の力だと思うわけでした。


 他、2008年から書き続けて終わらなかった長編小説一本も、今年前半でついに仕上げる事が出来まして。どんだけかかってるんだよって話ですが、完全燃焼できたかなという手ごたえが感じられたのは嬉しかったところです。
 まぁ電撃大賞に送って、選考であっけなく落ちたんですけど、これは構想自体がもはや古すぎたわけで、仕方ない。とはいえ、個人的に掴めたものは多い、と思えた経験でした。
 私ももうオッサンなので(笑)、あからさまなライトノベルを書こうとする事は今後はないと思いますが。しかし、それでも作品を書くなら、やっぱり若い人が喜んで読んでくれるようなものを書きたいなとは思います。
 まぁ、それも先の話。まずは取り掛かっている仕事をちゃんと完遂して。その後は、勉強かな。



    ○読書(小説)


 ここ数年では、一番小説を読んだのじゃないかな。ライトノベルを入れれば7冊。
 『吸血鬼ドラキュラ』がやっぱり抜群に面白かったというのもあるし、なんだかんだで村上春樹もやっぱり大したもんだと思ったりもしましたが、宮内悠介を2冊、それと『南極点のピアピア動画』を読んで、21世紀の日本SFがどちらを向いているのか、少し肌で感じられたのが嬉しかった、といった一年でした。
 ライトノベルは、面白いと感じると同時に、やっぱり私の感性が追いつかなくなりつつあるのかもな、という気分になりつつあります。距離を置いて、批判的に読んでしまいがちです。年はとりたくないけれど、自分が年をとった自覚がないまま、若いつもりの感想を書き散らすのも良くないからね。
 本当は、解釈や分析なんか忘れて物語に思い切り没入して、うおおおおお! と盛り上がれるような読書体験は今でも欲しいんだけどね……(笑)。


 ちなみに、今年前半は『ガンダムAGE』小説版も読んでいました。私はやはり、これだけ長きにわたりアニメ版の解説記事を書いている事からもお分かりのように、作品全体の構想やテーマとしてはアニメ版の方をより高く評価しています。が、小説版にも捨てがたい魅力があるわけで、その事はやっぱり嬉しかったのでした。特に、富野由悠季文体であれだけの量をよくぞ書いた、という点については称賛を惜しまない所存です(笑)。


 そんな感じ。やはり現在は人文書中心の読書ではありますが、小説も折に触れて読んでいきたいです。



      ○読書(人文書その他)


 結局、冊数で言えば今年は小説含め50冊に届くか届かないかしか読めていないわけですが、しかし密度は濃かったと思います。先日の神田古本まつりで買ってきた『週刊世界遺産』を手当たり次第に読んで自分用Wikiにどんどん知識を流し込んでいったり、過去に読んだ本も同様にしたり。冊数に換算されていないところでの吸収はけっこうしていました。
 一方、新規で読んだ中では、今年一番の収穫は福嶋亮大『復興文化論』かな。とにかく、人文学は視野の広さが肝要なので。たとえ自分の専門分野に特化した研究をするとしても、広い視野の中に自分の研究分野を位置付けてやっているかどうかで、論述の精度に雲泥の差が出ます。福嶋氏は、視野の広さという点で圧倒させてくれた久しぶりの書き手さんでした。充実の読書体験。
 他、今年は平家物語枕草子、また折口信夫柳田國男など、基本中の基本文献を意識して読み進めた一年でもありました。本当は学生時代に読んでおくべきなタイトルばかりなんですけれども(笑)、まあさすがに「いつか読もう」などと悠長な事が言っていられない年齢に差し掛かってきたわけなので。ともかくも、来年も基本文献を読む取り組みは続けて行こうと思います。
 その他にも今年は、化学の勉強をちょっとしてみたり、なぜか並行して錬金術の本を読んでみたり(笑)。相変わらず迷走していますが、迷走自体を楽しんでいきたいと思います。



      ○アニメ・漫画・映画


 今年は漫画もそんなに読んでないし、アニメもTV放映を追いかけたりはほとんどしていないのでした。
 『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『劇場版魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』は見た。とはいっても、ネットでの評判などを逐一追いかける余力は全然なくて、個人的に楽しんだといったところです。素直に屈託なく人に勧められるのは『かぐや姫』と『まどマギ』かな(笑)。『風立ちぬ』も個人的には好きなんだけど、テーマや解釈を探るような見方で干渉する限りでは、近作ほど見るのがツラくなってくるのも確かで。やはり宮崎駿の真骨頂は映像そのものの迫力と魅力、「絵が動く」というダイナミズムそのものなんだと思うし、だから『ポニョ』は素晴らしかったと思えたけど、『風立ちぬ』はそちらと逆方向に舵が切られているように見えて、そこは残念だったとも思っています。まぁ、今という時期に、自分のメッセージをテーマとして込めたくなる気持ちもすごい分かるんですけどね(笑)。


 他、映画では『パシフィック・リム』も見に行きました。ブログに感想は起こしていませんが、あれも素晴らしかった。ジャパニーズ・巨大ロボットスピリットは今後もハリウッドで独特の進化を遂げて欲しいと思いますw



      ○ゲーム


 今年、大きな変化としてガラケーからスマホに変えたわけで、それに合わせて話題のスマホ向けソーシャルゲームをいくつかプレイしたりしてたのですが。しかし結局どれも微妙に息切れしてしまって、プレイしなくなりました。現在はTribezとかいう洋モノ箱庭ゲームでまったり遊んでいます。
 なんだかんだで、「艦これ」だけは時々ログインして遊んでいますが。


 今年プレイしたゲームと言うと、もう『マインクラフト』に尽きるわけです。私のプレイの様子は逐一ブログ記事にしていますのでご覧いただければと思いますが、やはり自由度と適度なランダム要素が私にとって一番心地よいのだと思います。こんなに長期間、飽きずにプレイしたゲームは今まで無かったですからね。
 ゲーム側からミッションが課されるんじゃなくて、自分自身が「やりたいこと」を自分で見つけて、それを実現するために自然と「こなすべきミッション」を自分で見出せる。これがまた、本当に楽しいわけでした。素晴らしく奥深い。しかも定期的にアップデートがあり、毎回心躍る新要素が現れるのも、ネット時代のゲームの良い所です。MOD文化なども含めて、こういう奥深さを日本のゲームも実現して欲しいなと願っているんですけれど……なかなか難しいみたいですね。



      ○旅行・散歩


 今年は三年ぶりに、行き当たりばったりお散歩企画「東京彷徨」を再開できたのも非常に嬉しい事でした。
 事前の下調べをしない散歩は、いつだってほんの少しだけ「冒険」なのです。特にお台場への散歩は、個人的に未知との遭遇だらけで非常にスリリングでした。来年も是非、あちこち無節操に歩き回りたいと思います。まだまだ、行ってみたいところは沢山ありますのでね。
 今年は他にも、一月に埼玉古墳群に行って前方後円墳を実地に眺めたりもしました。特に考古学遺跡なんかは、自分の足でスケール感をつかんでおくのは非常に重要だなと再認識。
 長期旅行には行けませんでしたが、日帰りで見られる範囲でも、まだまだ面白いものや興味深いものは色々とあるようなので、東京都の外にも積極的に足を延ばせればと思います。それも来年以降に継続する目標です。



      ○総じて


 充実していたと思います。
 本当をいえば、読書量はもっと多くないと、私の興味関心の広がりに全然追いついてきていないのですけれども。しかしその辺はブログ記事の執筆時間とのバーターですしね。何もかもをこなす事は出来ない。その上で、出来る範囲で自分の活動を活性化していくしかない。
 とにかく、今年の自分の稼働率は非常に高かったと思えます。まぁ、なんというか、小説よりもはるかに高効率でガンダムAGE解説記事が書けているのを見ると、自分は小説よりも雑多な考察記事とか書く方が向いているんじゃないかという気もして、そうすると少し落ち込むわけですけれども(笑)。
 どうせ今後も、行き当たりばったりにやりたいことをやっていくでしょう。その結果、面白いものが出来たり見つかったりすれば、それを皆さんにおすそ分けしていければと思います。
 そんな感じで、来年も頑張るぞー、という感じ。


 ではでは。皆様よいお年を。