アレクサンドロス大王東征記(上・下)


アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)

アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)

アレクサンドロス大王東征記〈下〉―付・インド誌 (岩波文庫)

アレクサンドロス大王東征記〈下〉―付・インド誌 (岩波文庫)


 岩波文庫をとにかく絨毯爆撃するキャンペーン中につき。ヘロドトスを読んだついでに、手に取ってみました。
 まぁとにかく小生、世界史がからっきし苦手なので。せめてこの辺りからでも少しずつ挽回できないかなという目論見もあったりします。
 ……とはいえ、半分くらいは『Fate/Zero』のイスカンダル絡みによるミーハーな動機もあったのは否定できません(笑)。実際、読んでる間、アレクサンドロス大王の脳内イメージはほぼアレでした。
 でもまぁ、そういう読書もあって良いと思うのよね。アニメの聖地巡礼ってのがありますが、あれの読書版というか。そういうカジュアルな動機からの読書も、みんなもっとガンガンやろうぜ、っていう気分もあるわけでした。
 実際、「ヘタイロイ」とか「ブケファラス」とか、出てくるたびにテンション上がってました。ゴルディオンの有名な荷車が登場して、「ひゃっほう、ゴルディアスホイールだ!!」みたいな。我ながら単純なこと(笑)。


 まぁ、そういうミーハーなところを除いて読んでも、面白い本だと思います。シンプルに、冒険活劇読物として楽しい。難攻不落な地形に陣取った相手や、堅牢な城壁を構えた街、はたまたペルシャの空前の大軍団を相手に、様々な戦略や策を使って挑んでいってどんどん打ち破っていくっていう、ハイテンポでハイテンションな物語として読めるのではないかと思います。
 実際この本のハイテンポぶりといったらとんでもなくて、本編開始から10ページほどで既に大王は二連戦をこなしてしまっていて、しかもその経緯や状況も過不足なく語られている、そして面白いという。すごいハイペースに進みます(笑)。


 個人的に、アレクサンドロス大王がとにかくひたすら強い事に驚嘆の念を禁じえなかったというのが正直な感想。部隊の先頭に立って突撃するのは当たり前、歩兵部隊に先駆けて少数の騎兵隊だけ率いて先行突撃するとか、放っておくと籠城している敵要塞の城壁に自らよじ登ろうとまでしてて、本当よくもまぁこの人、前線で戦死しなかったよなと呆れるやら何やら(笑)。
 しかもべらぼうに強い。それこそゲームの三國無双とか、あの辺を思い起こすレベルで。なんというか、そりゃあ英霊として聖杯戦争に呼び出されてもおかしくねぇわな、としみじみ納得したことでした。


 その一方で、当初は軍の練度も士気も高く、連携も巧みで連戦連勝だったアレクサンドロス軍が、遠征が長期化し、またインドにまで前線が進むにしたがってだんだん疲弊してきて、組織としての強度が落ちていく辺りは何ともリアルに感じられたりも。


 そんなこんなで、歴史書として読んでた感じはあまりなかったわけですが。とはいえ、注釈の充実ぶりなんかもあって、自分の勉強的にも得るところのある、なかなか充実した読書だったのではないかと。


 といったところ。アレクサンドロス大王の東征については、まだいろいろと調べれば面白いことがザクザク出そうな印象はありますが、今は先を急ぐことにします。次はいよいよ、カエサルの『ガリア戦記』を読むのだ。


 というわけで、今回はここまで。