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ネタバレ注意。



 なんとなく気になったので、映画館で見てきました。
 やっぱファミコン世代としては気になるやん、って感じで行ったんだけど、この映画で取り上げられてるのは私が主に遊んだ『スーパーマリオブラザーズ』より以前、もう少し古い時期のゲームだったので、ちょっとその辺肩透かし感はありました。私より一回り上の世代は熱くなったのではないかとw


 まぁね、映画のコンセプトとして、ある種のノスタルジー映画、「あの時代はよかった」系映画にならざるを得ないのは分かってたことだし、だからその辺は最初から割り引いて見ていました(実際、最近のFPSゲームを主人公が批判する場面があって苦笑したり)。
 設定とか世界観とかも深く掘り下げてもしょうがない話で。ゲーム内容が現実化したって話を作りたくて、そのために宇宙人出したけど宇宙人がどんな奴かはどうでもいい! という大変潔い脚本だったんで、まぁほじくりかえしても野暮だろうと(笑)。
 ただそれなら、ゲーム部分では徹底的に熱くしてくれないと困るわけですが、そこでちょっと食い足りない感じが個人的に残ってしまって、それは残念だったかなー。一番ラストのクライマックスシーンで、BGMなんでQueenなのよ、っていう。そこはなんか、もう少し徹底してほしかったよなぁ、という感じです。原作ゲームBGMのアレンジとかさー。
 あと、陰謀論大好きさんが最後に、実体化したゲームキャラと結ばれるわけですけど、あの展開は正直、ちょっとどうかなーと思った。パックマンの生みの親の人は、我が子同然のパックマンに裏切られてドタバタを演じる羽目になったのに、こっちのゲームキャラへの思いは成就するんだーっていうのは、なんか不徹底だったと思う。それにぶっちゃけた話ですね……ドット絵に恋したものは、きっとドット絵しか愛せないぜ?w っていうのもちょっとあった(笑)。あそこでドット絵だったキャラが、ヒロインとして遇されるためにリアル美女になっちゃうところは、「あ、ヒヨったな」と正直思ったね(笑)。あれがドット絵のまま現実の男性と結ばれてたら、私のこの映画への評価はワンランクアップしました(ぇ


 まぁでも、この映画で一番楽しかったのはビジュアルでした。やっぱこう、CG技術が進んですごい映像作れるようになったけど、逆にすごい事は大体一通りやられてしまっていて、リアルなモンスターや恐竜が暴れる映像見ても、それだけでとんでもない衝撃を受けることはあんまりなくなったよなーって考えた時に。逆に嘘くさい、極彩色でキラキラした変なものに襲われるっていう映像には新味があったのかなと。
 ササキバラ・ゴウ氏が『Vガンダム』を評した言葉に「ジャンクなものが攻めてくる」恐怖っていう話があるんですけど、この映画は正にそれだなぁと思った事でした。見るからに恐ろしいものが襲ってくるのも怖いけど、逆にシリアスなのかどうかも分からないバカバカしいモノが無視できない脅威として襲ってくるギャップも、それはそれで怖い。


 あと、中盤の『センチピード』(キノコの間を進むムカデを撃退するゲーム)のシーンがね。あの場面が、純粋に3Dのゲームとして超面白そうだったのが印象深かったです。あんな感じの、体験型3Dシューティングゲームあったらやりたい。たぶん、ゾンビ撃つより面白いぞ。
 2Dのゲームを3Dに移植して面白いかって言うと、たいてい面白くならないんだけど、あの場面はゲームとして面白そうと思わせる絵になってて、そこは素晴らしかったと思った事でした。それに、やっぱ映像技術があがって何でもリアルに描けるようになったからって、なら何でも徹底的にリアルなのがゲームとして気持ちいいかっていったら、やっぱ別だよねっていう気分もある。あれくらいオモチャっぽく、記号化と抽象化が利いていた方が、爽快感があってゲームとしては逆に面白いんじゃないかなぁ。
 こういう、良い意味で「あえてリアルから遠ざかって、記号性を高めた分爽快感を出す」っていうのは日本ゲームの得意なやり方だと思うし(アメリカメーカーのリアル志向で物騒なTPSやFPSに対する日本ゲームメーカーのアンサーが『スプラトゥーン』だった事を想起されたい)、そういうスピリットがこの映画にも感じられたのは嬉しかったことでした。


 閑話休題
 結局、ゲームの勝ち負けに忠実で、負けたから撤退していってくれるあの宇宙人はすごく紳士的だったなぁと思うわけですが(笑)、逆を言うとあの宇宙人たちは別に何の痛手もこうむってないので、おそらく数年したら「おい今度はこのゲームやろうぜ」って再来するよなぁ(笑)、って一緒に見た弟と話していたのでした。続編作るには大変やりやすいねw 今度は私世代が親しんだ、『スーパーマリオブラザーズ』以降のファミコンゲームで是非作っていただきたいですな。あの光線銃でロックマンやろうぜw 海外でも有名らしいし、きっと企画通るよ!w


 そんな感じで。まぁ、小難しい事を云々してどうなるような映画でもないし、なんだかんだそこそこ楽しかったので、良いのではないかと。