『もっけ』5巻
- 作者: 熊倉隆敏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/23
- メディア: コミック
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怖っ! と思いながら読んでました。
絵柄はやわらかな感じで、雰囲気もバトルなんか全くない、日常生活の中の妖怪・神などとの関わりを描いてきた作品なのですが……。
高校進学を控えた姉の静流、そして小学生の妹瑞希の日々の中に、まぎれてくる妖怪たち。それら異形たちは本当に人のすぐそばで、彼らなりの日々を送っている。静流は彼らの姿を見ることができ、瑞希は彼らに取り憑かれやすい霊媒体質。それゆえ、日々の中で自然とそれら異形と関わっていくことになる。
3巻くらいまでは、彼らは隣人として、異界の存在なりに静流たちと友好的に接してきました。最低でも、ある程度距離をたもってはいた。
ところが、4巻あたりから、彼らが実際に牙を剥いて来る話が出てきます。
それが怖い。ゆるやかでほの明るい日常の延長線上に、人の悪心などと絡んで出てくる「他者」としての妖怪や神。
グロテスクでないだけに、かえってそれが怖いのです。
生理的な怖さでも、自分の身が脅かされる恐怖でもない。自分たちとは違うルール、違う行動原理で動いている他者がいるという、そんな怖さがここにはあって。
そこを的確に掬い取る作者の手腕は、さすがということなのでしょう。
まあ。成長すると共に知らなきゃいけない痛みっていうのもあって、今回は特にそういう部分も強調されていて、切ないなぁとも思ったのでした。
いわゆる「日常もの」という括りで言われる作品の系列にいるけれど、この作品はなかなか手厳しい目を持ってるな、という感じ。
ちなみに、瑞希がお気に入り(ぇ
あとカマイタチかっこよかった(笑)。