なんだかなぁ

 アメリカの農林水産の偉い人が来て、謝罪コメント中で
「BSEに感染するより、ハンバーガーを買いに行って交通事故にあう確率の方が高い」
 とか素敵なことをコメントしたそうな。


 しみじみ思うんだけれど……だから何だよ、と。
 確率が低ければ取り合わなくても良いのか、っていう話になるじゃないですか。
 数万人、数十万人に一人しかかからない難病は、確率低いから放っておいていいのか?
 んなこたぁ、ないわけで。二人に一人がかかる病気だろうが、数十万人に一人がかかる奇病だろうが、病に苦しむ当の本人にとっては関係ないってことを無視できないわけだし。そこに病があるなら、確率なんかに関わらず善処するってのが筋だろうと、まあちょっと考えればわかるわけで。
 言うに事欠いて、そんなコメントはねーだろ、と思うわけであります。


 一方、そのとき私が見ていたワイドショーも、「単なる事務的ミスか、それとも確信犯か」とかいう見出しで、実際「確信犯だったのか」とかアメリカのなんか偉い人にも聞いてて、「それは論点違うだろうに」とうんざり。
 確信犯なわけないじゃん。アメリカがわざとそんな事をしたって意味がない。
 今回の牛肉輸入ストップ問題の論点はただ一つ、「アメリカ側が最低限の約束をあっさりと破って見せた」ことだけでしょう。


 そりゃ、わかりますよ。アメリカ側にしてみりゃ、日本人がえらく神経質にBSEについて反応している事が、よく理解できずにイライラしているんでしょう。
 実際、確率としては低いんだろうね。過剰反応、っていう部分もないじゃないんだろうと思う。日本はケガレ思想の国だからさ、どうしてもそういう、感染とかウイルスとかいうたぐいのモノには敏感なんだよって、思う。
 けど、そんな国民性や、それに根ざした敏感さについて、アメリカに文句言われるとやっぱりカチンと来るじゃないですか。
 極端なこと言うけど、お前らアメリカ人はいいよな、肉さえ食えてりゃ細かいこと何にも気にならないんだろ、とか言いたくもなります(笑)。売り言葉に買い言葉、違う文化を持った者同士なんだから、この手の文句を言い合ったってキリがない。


 だからこそ、互いの妥協点として、約束を決めたわけじゃないですか。「背骨や脳は取り除いて輸入する」「生後20ヶ月以上の牛は輸入しない」だったかな? とにかく、そういう条件を設定して、ようやく折り合いをつけた。お互いの違いを理解した上で、いわばこれ以上水掛け論や不毛な言い合いをしないで済むように、明文化した決まりを作ったわけですよ。
 だから、それを破ったアメリカが全面的に悪いと、今回の件についてはそう思います。いまさら日本人が神経質すぎるとか、確率上では微々たるものだとか、そんな話を蒸し返すこと自体が、社会的に幼稚であることの証明です。
 てめーら訴訟ごとで有名な国なんだろーが。約束くらいしゃきっと守りやがれ。