ブギーポップ・オーバードライブ「歪曲王」
- 作者: 上遠野浩平,緒方剛志
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1999/02/10
- メディア: 文庫
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前作までと違い、ブギーポップさん出ずっぱり。
話も舞台設定から状況、キャスティングとかなり作りこまれていて、何より起こっている状況が謎めいていて引き込まれます。
ブギーさんの説教臭さもオーバードライブ(笑)。まあ、このシリーズの持ち味なんだなということで一作目の時ほど気にならなくなりました。どうあれ、これだけの登場人物すべてに落としどころをつけたのは見事かなぁと。
ていうか思うんだけど、明らかに挿絵で損してるなぁこのシリーズ。もっと良い絵師つけてくれよぉとかどうしても考えてしまう。半端にリアルなのが気持ち悪い。アニメ絵でいくならとことんアニメ系の絵を徹底してくれれば、中盤での宮下藤花のアップとかもう少しなんとかなったと思うのですよ。
ブギーポップっていう存在の謎めいた部分も、見事に絵にしそこなってる気がするし。
大抵この手の現代もののライトノベルっていうのは、序盤にリアリズムから始めて、徐々にフィクションというか、架空の世界へとシフトしていって最終的には現実離れしたエンターテインメントの世界でクライマックスを迎えるというのが定例の型だと思うんですが。
だから、終盤の盛り上がりでは、リアリズムはある意味、ある程度までなら気にしなくても良いんですよね。ところがこの絵師、終盤の盛り上がりの見開きの絵で、未だにリアリズムをどーんと。具体的には、「ブギーポップは宮下藤花なのだから、あの黒マントの下には藤花の私服がなきゃおかしい」っていうんで、それを描いてしまう。結果としてブギーポップがなんか、ファッション間違えちゃった変な人にしか見えない(笑)。
序盤で見せる事はあっても、終盤で見せちゃいけないだろうって思います。ここは是が非でも、マントの中を見せるべきシーンじゃない。上方からのアングルで描いた方がよほど良いと思うのだけれど。
というわけで、作品単体では75点だけれど、挿絵分マイナスで総合70点(笑)。