リリアとトレイズ Ⅲ・Ⅳ




 時雨沢氏のこのシリーズも、アリソンから数えて8冊目ですか。
 特に、世代交代を上手く取り入れた『リリアとトレイズ』以降のストーリー展開も、この人ならではのひねりで非常に楽しい感じ。


 まあ今作に関しては、ちょっとストーリー的な盛り上がりの点で若干平板な感はありましたが、それでも読んでいて非常にバランスのとれた、安定して面白い文章はさすがだなぁと。
 トラヴァス大佐の暗躍具合を、ものすごく楽しく読んでいる自分がいたり(笑)。
 それと、緊迫した場面でもただシリアス一辺倒で押さずに、わざと少し緊張感を欠いたセリフや言動をキャラにさせることで独特の面白みを出してるのも、相変わらず上手いよなぁと。
 容赦なく人がバタバタ殺される話なのに、決して暗くなりすぎない。
 この辺の呼吸は見習いたいところ。


 本当に、安定して面白い人だよなぁ。こうありたいものだ。