レンタルマギカ3冊
引き続きレンタルマギカです。
一応、既刊分は読み終わり。軽く感想など述べつつ。
- 作者: 三田誠,pako
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/11/30
- メディア: 文庫
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この世界観で「竜」なんてとんでもないシロモノを料理したのは見事。
あと、やっぱり仏教勢がいないというここまでの状況は寂しかったので、密教僧隻蓮さんの登場も歓迎。
……なんだけれど。どうもところどころで「うん?」と思ってしまうのは、細かな違和感があちこちにあるから。
素朴な疑問なんですが、「ござる」口調のお坊さんっているのかしら? 他で見たことないのだけれども。
ていうか、私の短いエンタメ歴の中で、ここまでガッツリと「ござる」口調だったのは忍者ハットリくんとるろうに剣心だけです(ぇ
この巻の話としては……まぁ、後々への引きを多く残しつつ。
フィンさんの登場と、引き立たせのためにアディリシアさんが狂言回し担当に。まあしょうがないのですが、この巻だけ単独で評価しようとすると、カタルシスとして少々喰い足りないかな、ぐらい。
まあ隻蓮さんの活躍シーンは気持ちよかったから良いのだけれど。
ただやっぱり、この分野へは私も妙に一家言というかこだわりがあるので、アラも目についてしまうというか……「両界曼荼羅」に「マンダラ・オブ・デュアルワールド」ってルビはどうよ、という(笑)。もちろん他の魔術特性の記述と合わせるための措置なのですが、こういう訳語をつけてしまう事で、元の「両界曼荼羅」の意味も曲解・限定されてしまうよね、という気もしたり。京極堂の「修証一等という言葉は訳し難いからね」というセリフを思い出してしまったのでした。
あと、真言は漢字でズラーっと書かれた方が、マジカルな感じがして演出として良いと思うので、「韋駄天神に帰命したてまつる」に「オン〜」とカタカナでルビ振るだけっていうのは、ちょっともったいないような気がしたりしました。やっぱり「唵摩訶伽羅耶莎訶」って字面は捨てがたいでしょう。
そんな感じ。
- 作者: 三田誠,pako
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/12/28
- メディア: 文庫
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短編集。
最初の話は海行きましたエピソード。けど、普通こういう話なら各キャラの水着の挿絵いれるよね?(黙れ
まぁ、こういう話もあっても良いんじゃない? とは思いつつ。
一応、妖怪マニアの一人としては、そこは「人魚」じゃなくて「濡れ女」にすべきじゃないかと言わずにおれませんが(笑)。
二話目は、アディリシアと穂波の過去話。こういう話は、各キャラがより深まって良いですな。
あと、宿敵と書いて友とルビ振ったりしないようにw
残りは、陰陽師の猫屋敷さんと、その後輩みたいな人との確執話。
上記の通り猫屋敷さんがメインの話なのに、挿絵は一つもなく。端役の端役、一シーンしか登場していないアディリシアさんの挿絵はあるという恐るべき贔屓っぷりに全米が泣いた(笑)。
話としては……まあ念のためネタバレは避けますが、「魔法使いの宿命!」っていうタイトルから、もうちょっとシビアな結末になると思ってました。う〜ん、まあ、これは踏み込みというか、書き手のスタンスの問題なので。
魔術対決のシーンはわりと読み応えあり。
- 作者: 三田誠,pako
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/06/30
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これも短編集。
最初の話は、主人公の修行、がメイン。
展開が唐突で面食らいますが、まあラストでフォローがあるのでそれなりに。
主人公が、己の持っている能力とどう向き合うかという事で、重要なターニングポイントという事なのでしょう。この話はわりと面白く読めました。
第二話は、ちょっと穏やかなクリスマス話。
これに関しては、手放しで絶賛。本当に良い話でした。うん。
こういうショートエピソードに元来私が弱いというのもあるんだけど、それ以上に、魔術とか、呪術というならこういう所まで視野に入っているべきだ、とも思うので。
……いや、理屈はいいや。この話、とにかく好き(笑)。
第三話は、うってかわってバトルメインの話。アディリシアさんが使い魔使えなくなっちゃいましたという話。
敵キャラの造形が、前巻の石動さんとかと微妙にかぶっているというか……結局事件の原因が、血統のあるなしを起点にしているケースが多くて、おまけにそれ以外にこの敵さんに特徴らしい特徴がなく。もう一歩、踏み込んでほしいなぁという気分になったりも。
まぁ、アディリシアさんのアレのシーンだけでお腹一杯ではあるんですが(笑)。
第四話は、第三話の裏で展開されていたもう一つのエピソード、という感じ。こういう構成は面白い。
あと、やっぱり隻蓮さんの活躍がわりと気持ちよく。
ただ……なんだろうなぁ、結局この作品において、肯定される、好感を持たれる男性像が「少年のような無垢さ」しかないように読めてしまって、なんだかな、っていう感じ。
そこはもう少し厚みが欲しいところ。まして、海千山千の魔術師がたくさん出てくる話なのだし。
とりあえずそんなところですか。まぁ、なんだかんだで、この『魔法使い、修行中』の巻はここまでで一番読後感の良い、楽しい巻だったかもです。