レジンキャストミルク

レジンキャストミルク (電撃文庫)

レジンキャストミルク (電撃文庫)


 異能バトルだというので試しに読んでみた。


 けど、うん、なんか自分の中ではイマイチでした。話の立ち上がりが遅いというのもあるし、文体が好きになれなかったというのもあるし。


 ライトノベルがらみの著者たちの傾向というのは少々特殊で、要は文章だけで、たとえばキャラを立てたり、「こいつ強そう」「ヤバそう」といった強い印象を与えたりしなきゃいけないという事情があるわけです。それも、あまり紙数を費やさずに。
 その結果、わざと誤った言葉遣いをしたり、過剰な強調、レトリックを垂れ流すことでそれを成し遂げるケースが多いようです。
 まあ、これをやり始めたのはもしかして奈須きのこかなとか、更にこれを推し進めたのは多分西尾維新だなとか、色々思うところはあるわけですが(笑)。
 たとえば西尾作品に、「十全です」というのが口癖のキャラがいて。とにかく、軽くOKくらいの意味でこの言葉を連発するので、全然「十全(つまりパーフェクト)」でないような意味のところでも平気でこの言葉を使うから、言葉の意味の上で間違っているという事になったりします。「まぁまぁ十全ですわ」とか、あからさまに変だろうと(笑)。
 で、こういうやり方が、今のライトノベルでは割りとまかり通っているわけですね。


 この作品でも、言葉遣いが非常に無軌道で、そこが私のような読者には結構引っかかったりするわけなのであります。


「与えてやろう、直川浩輔。俺の世界はすべからくお前たちの傍にあり、お前の世界はことごとく俺の手元にある。さあ、起きるがいい眼を醒ますがいい浮上するがいい。欺くがいい嘯くがいい吠えるがいい。そして夢のように世界を構築しろ。悪夢のように世界を興亡しろ、黄泉のように世界を哄笑しろ! お前の望む存在しない未来を、この俺が俺の名の下に枝分かれさせ成長させ滅びるのを待って刈り取ってやる!」

 作中、大ボスっぽい人の口調がこんなの。「ああ、俺ライトノベル読んでるなぁ」という気分にさせてくれます(苦笑
 どうも私、こういう文章は苦手というか、肌に合わないのよね。意味わかんないし(ぇ


 各キャラの能力とかは、そこそこ面白かったかな、という感じ。
 そこまで独創的というわけでもないけど。


 ところどころで面白い所もあったのですが、うーん、正直自分の中では総合的にはあまり。
 次巻もおそらく読まないと思います。