季刊『キャラ☆メル』連載 小説「東方儚月抄」第一話


 発売と同時に即入手。
 思うところを軽く感想という形で。


 まず、小説が始まる前の導入として、幻想郷の基本的な設定の説明。これは『コミックREX』などに比べても非常に親切な記事だったかな、という感じです。主要キャラの人妖相関図も簡略ながらあり。
 また、『東方求問史紀』で不明瞭な書き方がされていたため色々と憶測を呼んでいた一部過去設定(要はスペルカードが生まれるきっかけとなった事件のこと)について明記されており、東方の設定考察なんかをしている人にはスルーできない記事なんじゃないかなと思います。


 さて、中身ですが。
 基本的に文章としては可もなく不可もなく。飛びぬけて上手くもないし下手でもない、というのが文体への感想。まあこれは、いくら別の雑誌に連載を持っているとはいえ神主様の本業は小説じゃないので、こんなものでしょう。
 東方のキャラクターが動いているという面白さはありますが、それを越えて展開が面白いという感じではないです。まだ第一話なので、今後どうなるか、ですが。


 印象としては、コミックREXでのマンガ版の方がアクション主体であるのに対して、小説の方は永琳と八雲紫の陰謀合戦みたいになるのかな、という感じ。この二人が頭脳戦で正面からぶつかるような事態になるなら、少なくとも東方マニアの私としてはかなり期待が高まってくるわけですが(笑)。どうなることやら。


 いずれにせよ、背後設定や事件の内情なども丁寧に説明されているし、コミックの方だけじゃ何が何だかわからなかったという人にはオススメできるかな。かなり事態が整理されて描写されています。
 まぁ、東方知らない人に勧められる内容じゃ全然ないけどね。


 全体の感想としてはそんなところ。とりあえず、それなりに楽しめました。
 以下、細かいところ。


 とにもかくにも、霊夢を追い返す永琳師匠の言い草が適当すぎて素敵。「狐か狸のしわざなんじゃない?」とか、まるで古き良き民話の世界です(笑)。これで通るんだから、幻想郷って素敵なところだよねぇ。私にとっての理想郷かもしれないw


 輝夜が意外にのんびりしてるというか、箱入りのお姫様風情な描写だったのが少し意外だったかもしれない。WIN三部作でラスボスを張った人なんだし、レミリア幽々子と同列くらいに色々事情を把握している人なのかと思ってたけれども。そういうのは永琳の役目なのかね(笑)。
 まあ、設定の上でも完全無欠に姫だから、あれで良いのかな。


 とりあえずそんなところ。
 あとついでに、掲載誌である『キャラ☆メル』についてですが。正直言って、あんまり高く評価できないかなぁと。
 登場キャラクター同士の会話で今後放送するアニメなどの作品を紹介するというのが基本コンセプトらしいですが、最初にそれを聞いた時の私のイメージ(まあ、よくアマチュアのホームページで、キャラクタの顔アイコン使って会話形式で更新されてるお寒い感じの日記とか)から、ほとんど外に出ていないわけで。
 まあこうなるよなぁ、っていう。原作者を引っ張って来るとかするならともかく、編集者がキャラのセリフなんかを作ってやる場合、「キャラのイメージ壊せないし、本編を差し置いてキャラ同士の会話からドラマが生まれてもいけない」という結果、当然のように当たり障りの無い薄い内容の会話にしかならないという。
 これはまぁ、厳しいですね。キャラに重点を置くという着眼点は悪くないと思うし、もう少し工夫すればもっと良い誌面が作れるんじゃないかと思うんですが。
 私は幸い、TYPE−MOON作品も好きなので奈須きのこ武内崇両氏のインタビューもそこそこ楽しめましたが。
 正直、東方ファンか、TYPE−MOONファンか、もしくは藤島康介ファンでもなければ買っても不満が残るかも知れない。少なくとも上記の人たち以外には私はちょっと勧められないという。


 ただし。東方ファンは、『東方儚月抄』掲載雑誌の存続のために購入するように(ぇ


 まあ、感想としてはそんなところでした。とりあえず私はそこに東方ある限り次も買いますけどね。なんだかんだでそれなりに楽しんだし。