「インターネット利用者に実名の公表を義務付けます」について

 実家で見たテレビ、「太田光の私が総理大臣になったら」の本日のテーマが、


「インターネット利用者に実名の公表を義務付けます」
http://www.ntv.co.jp/souri/manifesto/index.html


 というテーゼに対して是か非か、というものでした。
 なんとなく最後まで見てしまったんですが、結局番組内では、「名前を晒したら言えなくなるような無責任な事を言うな」という意見の周りをぐるぐる回っているだけ、という議論に終始していた印象。


 個人的にもどかしくって、珍しく携帯から意見とか送ってみたりしたんですが……。
 ネット上では賛成44%、反対56%でしたが、番組内では賛成派が多く「可決」になった由。
 で、番組最後に視聴者からの意見を読み上げるコーナーがありました。まあ私の意見が読まれなかったってのは別に良いとして(笑)、番組最後に取り上げられた視聴者の意見も、反対派については「匿名性が排除されると自分の逃げ場がなくなる」とか、いかにも賛成派の人から見たら返って批判の的になりそうな意見ばっかり取り上げて読んでいるような感じがして、もどかしいなぁ、みたいな。
 なんか、賛成派の方に意見誘導したい気満々、みたいな。


 ちょっとアレな気分だったんで、私が送った意見を自分のブログにでも書いておこうと思い、つらつらキーボードを叩いてます。


 まず最初に、このテーゼを提示された時に考えたのは、「ああ、悪くないんじゃない?」でした。
 少なくとも、完全匿名性の某巨大掲示板より、書き込んだ人の名前とそのプロフィールや日記とかが直結されているmixiの方が、雰囲気は良いし不要な情報が少ないなという実体験があったので。
 2ちゃんのスレって、読んでても内容の無い書き込みとかループする話題とか多くて、情報の純度が低いし(情報の速さだけは折り紙つきですけどね)。空気悪くなりやすい。雑談やしょーもない話をするには向いてるけど、それだったらメッセでも足りてるし、mixiのコミュの話題でも個人的に不足は感じないんで。
 その辺を考え合わせると、別に構わないかなぁ、と一瞬思ったことは確かです。


 けど、これ、実際に頭の中でシミュレートしてみたら、全然現実性のない提案なんですね。


 ネットでの実名公表が完全に法制化・施行されたとしましょう。
 さて、私はグーグルに行って、職場の知り合いの名前を検索します。
 たったそれだけで、私は職場の知り合いの某氏が、ネット上で行ったすべての発言を拾って読むことが出来てしまいます。場合によっては彼がヤフオクで落とした商品も全部把握できてしまうかも知れない。
 彼の考え、彼の日常、彼の趣味嗜好から場合によっては彼の性癖まで、全部分かってしまいます。


 まずくないですか、これ。


 大体、ネットは現実社会と比べて顔が見えないから……などと良く言いますが、現実で町を歩く時、いつでも名札をつけて歩いたり話したり物買ったりしてるわけじゃない。ネットでの完全実名制って、喫茶店で友達としたバカ話とかまで、すべて発言者を明示して世界全土に公表すること(しかも常に検索・閲覧可能)に等しいのです。
 明らかに行き過ぎです。考えるまでも無く、こんなの反対でしょう。


 あるいは、ネットオークション辺りなら検索に名前部分がかからないようにする事は出来るかもしれませんが。
 ブログとか掲示板がかかってくるのは回避しようがないよね、多分。名前では検索できないようにする、とかしたら、芸能人の名前を検索して情報探すとかもできなくなるし。


 実名は隠してIDとかだけ付けるか? けどそれなら、IP辿って発信者特定するのと変わらないものね。


 ……とまあ、以上のような理由をもって、私は反対の側に清き一票を投じたわけなんですが。
 きっと番組HPで掲載されることは、ないんだろうと思います。テレビのバラエティは水掛け論になってナンボだそうなんで。