クロスボーンガンダム スカルハート&鋼鉄の七人


機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人 (2)

機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人 (2)


 Gジェネでの予習のために買ってきましたよ。


 とりあえず、長谷川氏はなんだかんだで面白くはある。
 小ネタというか、くすぐりの利かせ方はやっぱり上手いんですよね。鋼鉄の七人の2巻に、Vガンダムのビームローターのプロトタイプみたいなのを乗せた大型MAが出てくるんですが、これが飛行形態とMS形態とで上下が入れ替わるバカ仕様(笑)。なんでそんな変な機体になったかっていうと、木星の人たちは普段無重力で上下関係無い暮らしをしてたから、上下が入れ替わることがそこまで重大事だと感じてなかった、みたいな。
 これは、クロスボーン本編で、トビアたちが木星に潜入した時の描写を思い返すと、「あぁなるほど」って思っちゃうわけです。その辺のくすぐりは、だからやっぱり上手いんだな、と。


 ただ同時に、長谷川氏の作風って、普通ガンダム関連作品で為されるのと、くすぐりのポイントが違ってる事も確かなんですよね。明らかにズレがある。だから、スカルハートとか読んでても、業の深い(笑)ガンダムマニアほど「なんだこれ」って思ってしまう。


 思うに。私は雑食性の読書家なんで適当なこと言いますが、多分長谷川氏のスタイルというのが、本来のSFのやり方なんだと思います。
 SF,つまりサイエンスフィクションっていうのは、決して作中に出てくるメカのカタログスペックを並べ立てたり、兵器の開発系統を精密に作り上げたりする事じゃないんですよね。
 むしろ、軍事兵器を使える猿というような、センス・オブ・ワンダー、未知のものと遭遇して、それにどう対処して克服していくかっていうのがSFの本来の肝なんだと思う。
 そういう意味では、スカルハートも、鋼鉄の七人も、純然たるSFの作法で作られてるんだろうっていう気はするんです。
 こういう長谷川氏のやり方に違和感が生じるという意味で、「ガンダムはSFじゃない」っていうのはある意味で正しいのかな、と思ったりもします。


 さて。各個に感想。

『スカルハート』


「機動戦士Bガンダム
 最初にガンダムエースの連載でこれ読んだ時には、嫌いだったんですよねこの話。適当な話書きやがって、真面目にやれよって。
 クロスボーンガンダムは今やほとんど公式作品ですし、その続編でこういう適当なことやられるとちょっとカチンと来たりはする。ジオン兵の間でガンダムの大きさがどのくらいか、データくらいちゃんと共有されてるだろ、みたいな。


 けど今回読み直してみて、こんな話を身振り手振り交えて上機嫌でベラベラ喋ってるウモン爺さんを想像しながら読んだら、なんか普通に面白かったです(笑)。この野郎爺さんフカシこきやがって、みたいな感じw
 まあ、今も昔も、お年寄りの自慢話は話半分に聞くのが一番ですよ(笑)。


「星の王女様」
 スピリッツでのこの娘さんのCVが釘宮某らしいですね(ぇ
 まあ、特にどうという事もなく。ペズ・バタラを巨大な斧として使っちゃうとか、そういう戦闘での機転が、クロスボーンガンダムは全般的に面白い。


「海賊の宝」
 この話は好き。変に一年戦争ネタとか出すよりは、こういう話をやってくれた方が楽しめるんだけどなー、と思ったりはする。


「最終兵士」
 以前ちょっと書いたと思いますが、私はこの話はあんまり好きじゃないんです。
 それというのも、クロスボーンガンダムという作品が、宇宙世紀の「ニュータイプ神話」を終わらせた記念碑的作品だ、と思ってるからで。多分あの作品に関わってなかったら、富野監督はターンエーガンダムを作れなかっただろう、と今でも思っています。
 ニュータイプの能力なんて、地球住まいのオールドタイプが地上を何kmでも平気で歩けるのと変わらない、ただの環境適応の結果だって看破した、あの洞察に私は感動したのに。今更、そのニュータイプを「なんかとっても凄いモノ」として描かれると、えぇーって気分になるんですね。
 まあ、長谷川氏は、ニュータイプの能力を、SF的なセンスオブワンダーの題材に使っただけなんでしょうが。
 正直、クロスボーンガンダムはせっかく、逆襲のシャア以前の宇宙世紀に頼りきりにならなくても作品展開していける、そんな豊穣な素地の上に立っているのに、今更あそこでアムロの名前を出さなきゃいけないっていうのがね。うーん。かえって可能性を狭めてると思う。


「猿の衛星」
 俺のハリソン大尉をロリコンにしてるんじゃねぇよバーカバーカ(ぉ


   『鋼鉄の七人』2巻まで
 まあ、色々機体設定とかが物議をかもしていますが。
 この辺はもう完全に長谷川作品だよねーという感じ。逆襲のギガンティスとか、Vガンダム外伝とかと同じノリのものとして読んでます。
 コルニグスとかね、もうMSって呼ぶのも微妙w
 まあ、やっぱり、地球圏住まいの人と根本的に感性が違う木星圏の人々のメカ、っていう異様な感じは出てるんで、そこはやっぱり上手いんですけどね。
 うーん。ガンダムの世界観で作品作るのって難しいよね(ぇ


 そんな感じ。