フルメタル・パニック 疾るワン・ナイト・スタンド


 やっぱりこういう、いわゆる「リアルロボットもの」をやる上で、ある程度ガンダムのことは意識しているのかな、とは思ったりするわけで。
 たとえばラムダ・ドライバによる防御と攻撃は、Zガンダム最終話のカミーユを私なんかは連想してしまうんですけどね。「思いが力になる」というような。
 そして今回は、作中で標準的な大きさの数倍ある巨大メカが相手。乗ってるパイロットが薬物で調整されてるところとか見ても、やっぱりこれって「サイコガンダム」と強化人間へのオマージュなのかな、とは思ったりする。
 まあ、散々既出な感想でしょうが。


 相変わらずディティールが上手い。
 軍事行動のリアリズムと空気感が堂に入ってます。そこに等身大のラブコメ要素を絡めるシナリオも順当で上手いし。
 マデューカスさんと、敵組織の女性との会話も印象的です。堅実な良い仕事だ。


 とはいえ、堅実な仕事につきものの問題ですが、爆発的な話題作にはなりにくいんですね。やっぱり。少々歪つでも突き抜けちゃってるくらいの方が、一時的な爆発力が出るので。読んでいると、この作品が長らく「無冠の帝王」だったというのも分かる話だなぁと。
 特に現在、端正すぎる作品って埋もれてしまいがちだと思う。テレビの芸人さんとかもそうだけど。


 とりあえず、1巻の時にはあまり伝わってこなかった、トゥアハー・デ・ダナン艦長テレサ・テッサロッサさんの娘さんとしての顔が見られたので良かった、かなという。
 宗介さんも色恋沙汰には疎そうだけど、空気感が悪いのを感じて冷や汗流すくらいの危機感知能力はあるらしい(笑)。


 で、次の巻で再び1巻で出てきたあの人登場って感じの前振りでしたね。
 まあこの手のエンタメじゃ、きっちり死亡した描写がなかったキャラはいつ生き返ってもおかしくないのが通例。これくらいじゃ驚かないよね?


 そんな感じ。