Fate/Zero 3巻


 周回遅れで今ごろ3巻を読了。
 例によって注意書きを。この本は一般の書店流通には乗っていない作品であり、同人ショップ等でなければ購入することができません。
 そして、ネタバレ注意。



 とりあえず、これはもう1巻を読んだ時からずっと思ってるわけですが、信じられないくらいクオリティが高いです。
 エンタテインメント小説として、完璧。最高に隙がなくて最高に面白い。信じられない。これが一般書店で買えない品物だなんて、あり得ない(笑)。
 プロットも練りこまれてるし、展開も息をつかせぬもので先へ先へと引っ張られるし、文章も引っかかるところがなく、良い。マスターとサーヴァントだけでも14人、さらに周辺人物も入れれば20人を超えるという大量の登場人物を完璧に御して、動かしている。隙が無いといっても、ただ優等生的に「隙がないだけで取りえもない」わけでもなく、作者の個性や情念も篭ってて読み甲斐があるし。
 表層のバトルロイヤルの展開のほかに、各キャラクター同士の思想のぶつかり合い、行動原理での反発、戦略的な駆け引きなんかも描き込まれていて深く楽しめるし。善人ばっかりとか、悪人ばっかりといった偏りもなく、とんでもない悪人もとんでもない善人(笑)もいて互いにせめぎ合ってるのが凄い。
 あえて欠点を言おうとするなら、奈須きのこ作品を下敷きにしているので背後設定が煩瑣なことと、そもそもこういったいわゆる「異能バトル」的な、キャラクター小説的なリアリズムに違和感を覚える読者には向かない(つまり、30代より上のある程度の読者には辛いかもしれない)ことくらいですか。あとは、原作であるタイプムーンの『Fate/Stay night』を知らないと世界観に入りづらいことくらいか。
 けど、そんな短所なんか気にならないくらい、ハイレベルです。そりゃ、巻末の解説の人も嫉妬するよ。


 結局この巻で、2組が脱落しました。思ったより少なかったなぁ。もう1組くらい脱落して4巻を迎えると思ってました。
 とにかく、切嗣さんの容赦なさが素敵。こうまで徹底してりゃ大したもんです。
 龍之介とジル・ド・レェのやり取りもぶっ飛んでて好きだし、やっぱりイスカンダルが素敵すぎます。征服王マジで惚れる。
 そして、ぼくらのアーチャー、ギル様。バーサーカーとの空中戦で、相変わらずの油断っぷりで撃墜されてて噴いた(笑)。それでこそギル様です。


 とりあえず、総合的な感想は全部読んでからで。とにかく掛け値なしに面白い。
 さて、早いところ、4巻を注文せにゃ。