呪いあれ
週二回、実家に顔を出した時に、新聞読んだりテレビ見たりして、ようやくニュースが耳に入る。
それにしても、まあ今に始まった話じゃないけど、嫌なニュースばっかり。
小さな町工場が仕事がなくて苦しくなって、一家心中、生き残った次男は両手首切断されて重体とか。
……こんな事言うと、青臭いとか、現実が見えてない机の上だけの理想論だとか、色んなこと言われそうだけど。
ワーキングプアの人たちの生活とか聞いてても思うけど、憲法で「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されてる国とは思えないよね、なんかさ。
ちょっと経済競争で負けただけで、剥奪されちゃうものなのかね、「最低限度の生活」って。
食べ物も衣類も生活雑貨も行き渡ってなくて、作れば作るだけ成長できた２０世紀中盤くらいまでなら、「成長し続けるのが当然」なんて植民地時代にできたシステムでも行けたのかも知れないけど。今は違ってさ、もうどこの国に行ってもある程度、食べ物も着る物もあるし車も走ってるし。それなのに、未だにこんな経済システムで行ってて良いのかなぁとか、そんな「高校大学時代に済ませておけよ」っていう世間への不信とか疑問が全然拭い去れないわけで。
以前、そっち方面に詳しい友人にそんな疑問をぶつけたら、「ブランドとか、そういう付加価値をつけることで需要を作って、それで成長を維持するみたいだよ」という話だったけど。けど、日本に関して言えば、どんなに付加価値つけても消費者のお金と時間（特に後者）は限りがあるだろうし、だから結局限られた消費者のリソースを奪い合うゼロサムゲームにならざるを得なくて。
つまり、平気な顔で「成長を維持」とか言うけど、成長した分だけ誰かが負けて、首吊ってるんだろう。きっと。
最近になって「勝ち組」「負け組」なんて言い方が出てきたのも、そういう事をようやく世間が少しだけ察したからなのかな、とか思っている。
まあ、自分で書いておいてなんだけど、上のような見解は極端で偏った見方で、経済とかをちゃんと勉強した人たちは、共存共栄しながらなおも成長し続けられる方法をちゃんと知っているんだろう。
ただ、私は何かもう、息苦しくてついて行けない気がしている。
別に出世とかそんなに興味なくて、ほどほどに働いて、ほどほどに休んで、年収がそこまで伸びなくてもいいから、のんびりしたペースで働きたい。けど、そんな事言って、採用してくれる会社なんかどこにも無いのであった。当たり前。どこの会社もキュウキュウとしてるんだろうし。
けどさ、就職して働かなきゃ生きて行けない、失業率が高まるのは問題だ、それなのに結局「バリバリ前向きに働いて成長まい進します！」って人しか仕事に就けないって何？ うちの職場の先輩がいみじくも「就職活動なんて演技ですよ演技」と言っていたが、そんな前向き野郎の仮面をつけて偽らなきゃ会社に入れないというのが、何だかもう馴染めない。
こんな事書くと、「甘えてる」とか言われるんだろうな。いや実際甘えてはいると思うよ。それに回った会社の数だって、私の場合決して多いとは言えないし。
ただ私の場合はとうとう駄目だったんですね。
休日出勤、１５時間労働とか、クソッ食らえ！
そのかわり私の今の境遇は月給手取りで１４万ちょい、ボーナスはなんと２万円弱（しかも今年の夏からカットされる）ってところで、車も買えないし彼女も作れないし結婚もできないだろうけど。十年後二十年後、野垂れ死んでたら笑ってくれ。
でもどうにか食っていけるから、このまま、現状回ってる経済のシステムを呪わしく眺めながら、社会の底辺でひっそり文章でも書いて暮らそうと思っている。
今現在、アメリカや日本など先進国の経済は低調で、成長しているのは中国などのアジア。日本で景気が良くなったとか言ってたけど、その黒字分も海外で売った分が主なんだそうで。
けど、現在の発展途上国、アジアとかその他の地域にもあらかた車だのテレビだの何だのが行き渡ってしまった後で、一体どうなるんだろうね。
私の取りこし苦労かも知れないけど、十代、二十代の人は、そうなった後で、今まで先送りにしてきたツケが一遍に頭上に落ちかかってくるかも、っていう覚悟くらいしておいた方が良いのかもなー、とかちょっと思っている。３０年後、４０年後、５０年後。
まあそれ以前に、中国やインドのすべての家に、一家に一台車があって、一家に一台エアコンがついて、っていうのがまず空恐ろしい想像ですけど。
たとえば。環境問題のうるさい現在、電気の使用量をおさえて省エネに努めるのは素晴らしい事です。
けど、たまたま電力会社か何かの企業向けの冊子みたいなのを見たことがあるんですが、そこでは当然、電気の使用量が減ることは「売り上げが減った」ことで、マイナスとして語られるんですね。
何だよ、それ。
とりあえず、私は現状の経済システムが「さっさと破綻しないかなぁ」と思ってます。どこもかしこもアップアップしてるじゃん、こんなの長続きしないよ、だったらさっさと潰れてしまえ、って。
株価が下がってるのを見て喜んでいるのは、私くらいのものでしょう。
もちろん、本当に崩壊して、うちの勤め先が倒産とかしたら、真っ先に野垂れ死ぬのは私なんですけどね。貯金とかあんまりないし。
あーあ、青臭いこと一杯書いた。読者の皆様は私のことを馬鹿だって笑って良いですよ。
間違ってるところは是非指摘して欲しいなと思うし。
そして願わくは、私の中でくすぶってる「呪われてしまえ」というこの変な思いを消してください。
