季刊キャラ☆メル 小説『東方儚月抄』第四話


 小説版儚月抄も第四話。今回は、藤原妹紅が登場という事で、東方界隈では非常に盛り上がった回でした。


 とりあえず全体的な感想を言うとだ……お前ら仲良いな、という(ぇ
 お話後半のメロドラマも真っ青な展開には思わず苦笑。もうそのまま感極まって泣きながら輝夜に抱きついちゃえよ、みたいな(それは駄目だろ


 まあ、これが本職の小説書きが書いたなら、もう少しひねった書き方をするんでしょうが(少なくとも、直截に「輝夜が月へ帰ってしまわないか心配」とは書かずに、ツンデレ――もとい、自分の感情に素直になれない心境描写を入れたりして、もう少し複雑にするところ)、ZUN氏にあまり技巧的な面で高度なことを求める気は私にはないので、まあこれでも良いかな、とは思います。
 無論、その辺に磨きがかかってくれれば、なお良い。


 で、妹紅、慧音あたりについて新たな設定が次々出てきたりして、結構大変な回だったわけですが。
 今回新たに、石長姫と木花咲耶姫という、日本神話の神様の名前が出てきました。というか、回想の中でですが、咲耶姫の方は実際に登場しています。
 うーん、やっぱりこの辺気になりますね。永夜抄くらいまでの幻想郷は、記紀神話の神様が実体を持って出てくるような世界観じゃなかったように思うんですが、『風神録』と『儚月抄』以降、普通にそれらが出てくるようになりました。
 否――やっぱり永夜抄の時点で萌芽はあったんですかね。因幡の白兎はいたわけだし。
 ていうかその後で閻魔様も出てきたんでしたっけ(笑)。


 そういう方向性で、どこまで行くつもりなのかなぁというのにはわりと興味があります。アマテラスとかまで出しちゃうのかとか、やっぱり気にはなる。
 まぁ、何だかんだでここまで、物語や世界観のバランスをほとんど失する事無く進めてきた神主様のこと、そこまで心配はしていないんですが。


 そして、幻想郷の「妖怪の山」が、伝説上の八ヶ岳であると明かされます。なるほど、それなら突然諏訪の神様がやって来ちゃったのとも辻褄が合うと。
 まあ、これは風神録を作ってからの後付けかなという気もしますけど――そうならそうで、富士山との神話から石長姫、不死、妹紅とつないだのは上手い。この手の「話の素材」の扱いは堂に入ったもので、流石。
 ごく個人的な感想ですが、京極夏彦作品にワクワクしてた頃を思い出します(笑)。


 さて、小ネタですが。とりあえず「三馬鹿トリオ」呼ばわりはどうなんだろう(笑)。咲夜さんを馬鹿と評する勇気は私にはないなぁ、霊夢魔理沙はともかく(待て
 まあ、妖々夢以降の咲夜さんに関しては結構天然入ってたりもしますから、案外こんな感じの軽さなのかも知れませんが。


 あと、妹紅の不摂生ぶりに妙な親近感を覚える私……とか言うと「お前の自堕落と一緒にすんな」とか言われそうですが。けど、身近に妹紅みたいなのがいて、不摂生してたら、自分のこと棚に上げて無駄に構ってしまいそうになるかも知らん。なんか、そんな危うさがある人っていう感じがします、妹紅。
 きっとけーね先生は、そんな心境なんでしょう(笑)。