不思議の国の論理学


不思議の国の論理学 (ちくま学芸文庫)

不思議の国の論理学 (ちくま学芸文庫)


 なんていうか、コメントに困る本(笑)。
 非常に上級者向けの本だと思います。いや、論理学のとか、パズルの得意な人向けという意味ではなく、読書の上級者向けというか。
 本の構成が一定してなくて、どこからどこまでがルイス・キャロルのアイディアでどこからがそうでないのかも分からないし。パズルっぽい問題がいくつも出されるんですが、あるコーナーでは解答編があり、別のところでは無かったり。かと思うと、キャロルが幼い女の子の友達に出した手紙がそのまま掲載されてたりもするし。どういうスタンスで読んで良いのかがまず分からないという、そんな本。


 しかしだからこそ、楽しくもある。
 親戚の家の古い土蔵に、探検で忍び込んだような気持ちといいますか。特に整理されてるわけでもないから、掘り返してみると何が出てくるか分からない、そんな中に迷い込んだような気分になれて、けっこう面白いです。内容もキャロルらしい、創意工夫のこらされた稚気があちこちにあって。
 私はこれ、ちょうど職場の休憩時間にちょろちょろ読んでいたんですが、そんな感じで息抜きに読むと非常に良いと思います。
 まあ、最後に収録されてる、ユークリッド幾何学についての戯曲風の読み物だけはパスしてしまいましたが。あれは本職の数学者向けの作品なんだろうしね。
 そんな感じ。