キノの旅 12巻
キノの旅〈12〉the Beautiful World (電撃文庫)
- 作者: 時雨沢恵一,黒星紅白
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: 文庫
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とりあえず、あまりにも衝撃的だったので、ちょっと盛大にネタバレします。未読の方はご注意くださいよ?
以下、かなり重大な部分のネタバレ。
……あの時雨沢恵一が、普通に「あとがき」を書いているよ!!!(えぇ〜
あまりにも普通すぎるあとがきに私、激しく動揺。
……まぁ、さすがにそろそろ、ネタというか出来ることも底をついてきましたかねw
もしくは、普通のあとがきを書くことへの憧れがついに爆発したものか(笑)。
ある意味普通に書くことがサプライズなので、これも時雨沢氏の思うつぼなのかしらw
そんなわけで。毎度おなじみキノの旅。
今回、なんか世情批判っぽい話が特に多かったような印象がありました。
「求める国」とか、わりとそのまんまですよね。いわゆる朝日新聞批判的な。
もちろん、『キノの旅』は徹頭徹尾、自己防衛は是とする立場を貫いている話ですから、ある意味この結論は当然ではあるんですが。
「正義の国」にしても。まぁ、現在世の中がこんな感じですから、時雨沢先生としても色々思うところはあるんでしょうかね。
とりあえず、私見ではおそらく、「日時計の国」は北朝鮮への揶揄だと思うw
その他、印象に残った話。
「日時計の国」
惑星一周って小学生の発想かよ、と思わず突っ込み(笑)。
けど、着弾までの時間差の表現とかが変にリアルなんで、妙に説得力があります。
とりあえず驚くべきは、そこらのスパコンをはるかにしのぐエルメスの演算能力。何者ですか彼はw
「続・寄付の話」
なんか今回、めちゃくちゃ黒いよね、どの話も(笑)。
「手紙の話」
そんなオチだと思ったよ(苦笑
「徳を積む国」
ちなみに、こんな感じの、徳のポイント制は実在します。明、清時代の中国で行われていた功過格というのがそれ。
http://www.shiseikai.net/koukakakuhyou.htm
まぁ殺人が許されるなんて仕組みではありませんでしたが。
まあしかし、芥川龍之介『蜘蛛の糸』で、盗人カンダタが蜘蛛を助けただけで地獄から救済される資格を得たりと、宗教には実はけっこうこういう、徳の足し算引き算の思想ってあるんですよね。
それが悪い方に転ぶと、西洋で宗教改革の引き金になった「免罪符」みたいなものを生み出してしまったりもする。
その辺の事情も含めて、いろいろと示唆的な話です。今回の12巻の中では、これが一番切れ味の鋭い話かな、個人的には。
「雲の前で」
一応、念のため。気づいてない人は3巻を読みなおすと良いよ。
にしてもシビアな話でした。けどまぁ、キノの作品世界で、旅を始める人たちはみんな、こんな感じのやりきれない発端を持ってるのかも知れません。
この娘さん、新しい準レギュラーなんですかね。
そんな感じで。
にしてもここ何巻か、師匠が大人しいなぁ……。もう師匠が暴れる話は見られないのかしら(笑)。