古今和歌集


古今和歌集 (岩波文庫)

古今和歌集 (岩波文庫)


 職場の昼休みにのんびり、ちょっとずつ読んでいた本。岩波文庫版。
 正直、年をまたぐくらいのペースだろうと覚悟していたので、11月中に読み終えたのは意外でした(笑)。それくらい、ちょっとずつ進めてた。


 まあ、読んだとは言っても、正直なところ頭に入った気は全然しません。右から左に流れてしまったという印象。和歌集なんて読み慣れてないというのもありますが……。講談社学術文庫に、一首一首に詳細な解説をつけた古今和歌集が収録されてるので、そっちにすれば良かったかと少し後悔したくらいでした。もっとも、全10冊となると最後まで読み切れる自信もあまりありませんが。


 とりあえず、同僚に「何読んでるの〜?」から雑談になったりするので、とりあえず「紀貫之って編纂者だからって、自分の歌ばっかり入れすぎじゃね?」とか冗談で言ったりしてました(笑)。実際、2ページに一首くらいのペースで必ず貫之の歌が入ってるのが何とも。「つらゆき」って文字を見るたびに「またお前か」と。
 実際、何か事情があったんですかね? よく知らないのですが。確かに、全体的に見て紀貫之の歌は完成度が高いような印象は何となく持ちましたが……。


 あと、仮名序で同じく紀貫之が、六歌仙をわりとボロクソに酷評してるのは割と有名なのかと思いますが(といってもまぁ、この仮名序で挙がってる6人を六歌仙と呼ぶようになったらしいので、この言い方はちょっと変ですが)。仮名序の内容のアウトラインは知ってたのですが、今回中を読んでみて、意外にその評が的を得ている気がしてきました。
 僧正遍照が「誠すくなし」とか、実際の歌読んでたら確かになー、という感じで(笑)。他の歌にくらべてちょっと軽薄な感じは確かにあるよねーと思いつつ読んでましたw
 他の六歌仙についても、言葉は悪いけどけっこう頷ける評価なのかも、と印象を新たにしてみたり。
 そんな感じで、実際に一通り目を通してみて、この古今和歌集の周辺の事で印象を新たにした部分は多々ありました。ただやっぱり、歌そのものが鑑賞できたって気分ではあんまりないんだなぁ。素養の問題なんでしょうね。残念だけど。


 他、気になった点を備忘録的に。


「第七 賀歌」の冒頭に出てきた、読人しらずの歌がこんなので。

わが君は千世にやちよに さざれ石の巌となりて苔のむすまで


 何にも知らずに読んでたので、かなりびっくりしました。完全に不意打ち。
 後日グーグル先生に聞いてみたところ、「君が代」の歌詞とは初句だけが違うわけですが、その後『和漢朗詠集』に初句を「君が代は」とした和歌が収録されているそうです。
 解釈としても、「君」を恋人、つまり「恋しい君」という風にも読めるとのことで、実際江戸時代には婚礼の場で読まれたりもしたとか。もちろんこれは夫婦の中が「千代に八千代に」続いてほしいという意味。
 へぇーへぇーへぇー。
 こういう発見が、つまり読書の楽しみなのでした。
 まあそんなわけで、分からないなりに、それでも通読して報われた部分もあったのかな、という感じです。