比良坂版『東方三月精』第二巻
東方三月精 Strange and Bright Nature Deity (2) (角川コミックス)
- 作者: 比良坂真琴,zun
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/02/18
- メディア: コミック
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昨日、入手して読みましたので軽く感想。
相変わらずぼんやりのっぺりした話がちょろちょろと並ぶ、ゆるーい本でした。特に魔理沙分多め。
とりあえず、率直に言って、値段分楽しんだとは言い難いかな、と書いておきます。
これは儚月抄の方も念頭においての発言ですが、ZUN氏のストーリーテラーとしての技量というのは、決して高いわけではない。『儚月抄』はそれでも、思わせぶりな展開や伏線の張り方によって読者を引っ張っていくのに割りと成功していますが、2話完結のオムニバス形式のこの『三月精』は、それだけにちょっとした粗も目立っている印象。
この『三月精』は珍しく既存の東方作品を知らなくてもそれなりに読める話ですが(少なくとも儚月抄よりは)、しかし東方のファンでない人に読んで評価してもらった場合、せいぜい良くて「凡作」ってところじゃないでしょうか。
もちろん、東方世界における「霊夢」や「魔理沙」の位置づけや活躍などを知っている人なら、もう少しこれらの話からも楽しみを引き出せるでしょうけど。
たとえばツチノコの話での魔理沙の空回りっぷりとかが、話の作りとして上手いかと言われると……。ちょっと首をひねってしまうところ。
ZUN氏はゲーム作りのスキルはとても高いと思うし、そのポリシーも優れていると思うし、作曲の才も面白いと思います。それらを評価した上で、けどストーリーテラーとしてはそこまで小慣れていない、というのが最近の私の評価だったりするのでした。
まあ、そんな繰り言を並べつつも、なんだかんだで最後までページをめくり、それなりには楽しんで読み終えたのも確かなんですけれども。
ZUN氏はどうも、キャラクターを立てるのが異常に上手い。それは外見上のデザイン面だけじゃなくて、そのキャラの性格の面白さ・親しみやすさを引き出すのもやたら上手いんですよね。いつも比較的冷静な突っ込み役のルナチャイルドに「鈍くさい」一面をつけたり。尊大なレミリア様の子供っぽい一面をちらっと見せたり、そういう感じに各キャラの性格・内面に幅を持たせて膨らませるのは、やたら巧みです。だからこそ二次創作がこれだけ隆盛もするんですが。
総評としては、これでCD無しで800円以下なら、値段相応には楽しめたと思えるかなぁという感じでした。ていうか本当に、神主のコメントとか見ても本にCDつけるのあまり乗り気じゃなさそうなんで、一迅社もやめれば良いのに、と思ってたりします。
だって私松倉版三月精持ってるもの。そうするとちょっと今回の付属CDがかなり割高感があって。
そんな感じ。
細かいところ。
とりあえず魔理沙さんの怪傑ズバットな発言に思わず噴いてしまった私は多分負け(何
でも多分「孔明の罠」はやり過ぎ(笑)。
あとツチノコのあの適当な絵は一体なんなんだろう(笑)。まああれが味なんですが、まるでマスコットのぬいぐるみですやん。少なくとも爬虫類には見えんw
全体的に好きなのは最後の方の、明けの明星の話なんですけどね。まあパチェが出てきたからというのもありますが(マテ
レミリアお嬢様が尊大に振る舞いたいお年頃なのもなかなか良かったです。ていうか、まあ前からとはいえ、太陽全然平気ですやん(笑)。
で、儀式失敗に落ち込む霊夢というのもなかなか面白かったです。天才肌で失敗知らずだったんでしょうから、あのリアクションは魔理沙的にはからかいがいのある反応ですね(ぉ
そんな感じ。