日本人と鏡
- 作者: 菅谷文則
- 出版社/メーカー: 同朋舎出版
- 発売日: 1991/10
- メディア: 単行本
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古書店で買った本。鏡に関する日本文化史ですね。
面白いのが、普通文化史なら古代から始まってだんだん現代まで来るのが、この本だと逆に時代を遡って行く構成にしていること。つまり、時間を遡りながら、逆に要素をそぎ落として行って鏡に対する一番プリミティブな感性にまでたどり着こうと。
まあ、全体を読みとおした感想として、それが成功しているかというと微妙な気もしなくもない(ぇ
半分以上が考古学の内容になっているんですが、鏡をテーマに文化史を横断するなら、もっと手広くやる事も可能なのかなとも思うし。セイゴオ先生の本を読んだばっかりだったのもあって(笑)、もっと広範な視点から書く事も出来たはずだ、という考えはやはり脳裏を過りました。
横断的な視点で本を書くなら、やはり射程距離は長ければ長いほど良い。
それはそれとして、考古学部分については面白いところもちらほら。
藤ノ木古墳で、被葬者が鏡を枕にした状態で埋葬されてたというのも、色々興味深いです。
また鏡の鋳造方法などについても。既にある鏡のコピーを作ろうとして、その鏡を粘土に押し付けて型を取る。と、その型を乾燥させる過程で若干サイズが縮むので、出来あがったコピー品は元の鏡より若干小さくなるのだそうです。へぇーへぇーへぇー。
そういうTIPSで面白いところはそれなりにあったので、まぁいいかな、といったところ。
むしろ、鉄や銅製品を古代に作る際の手順とかも、面白そうだから調べてみるのも良いかなとかも思いました。「ものと人間の文化史」あたりで探してみるかね。
そんな感じ。